第3話



新函館北斗駅は男の想像よりも遠かった。






わかっていたことだが到着した日は移動だけでヘロヘロになってしまっていた。







男は自堕落な大学生だ。






朝早くは起きられず、最大限頑張った結果12時に出発をした。





体力はないし、やる気もない、夏休みに入ってからは昼夜逆転が当たり前の毎日だった。





酒も好きではないしただ只管SNSを見続けるだけの日々。





友人の中でも意識が高く計画性があるものはこの夏休みを利用してインターンシップへ出かけていた。




対して自分は実家のベッドの上でただ時間を無駄に過ごしているのに…という身勝手な劣等感が更に男の心を沈ませた。





この旅は楽しいひとり旅と言うよりもあの鬱々とした部屋から飛び出すという理由がかなりの要素を占めていた。





このままでは駄目だと分かりつつも行動に移せない男が最近唯一ハマったのがカメラだった。





そこで男は思いついた。





カメラを持って旅行に行こうと。

 












男の荷物は結果的にカメラと小さいリュック1つで収まった。





新函館北斗駅から函館駅までJRを利用した。





交通系ICカードが使えないことは想定外だったが現金を下ろしてきたため問題ない。





少しの不自由さも旅の醍醐味だ。





函館駅に着いたときに男は以前からは信じられないほど前向きな気持ちになっていた。






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