信用創造主 たぬき・ザ・コン・マン
加賀倉 創作【書く精】
第一話『ビリーブ・イン・お米』
——ここは、絶海の孤島『ふろんてぃあ島』。
自然豊かなこの島には、獅子王ライアンを頂点とする、たくさんのどうぶつたちが存在する。
ライオン、猿、蛙、たぬき、熊、兎、狐、鼠、猿、虎など、どれも飛べないどうぶつばかり。
島の中心には、『ゆぐどらーしるの木』という、天まで続くと思うほど長大な、一本の神聖な大樹が生えている。
その幹の外周は、どうぶつたちが百匹で手を繋いで輪っかになっても、囲うことはできない。
色とりどりの、真紅の木の実、深緑の葉、黄色い花。
ゆぐどらーしるの木はふろんてぃあ島の守り神のような存在であり、どうぶつたちの多くはこれを崇拝している。
島の経済はと言うと……
どうぶつたちは、いわゆる『ぶつぶつこうかん』で暮らしている。
ふろんてぃあ島では、稲作を主軸とした経済が発展しており、お米は、どうぶつたちにとって、最重要のエネルギー源だ。
そのため、どうぶつたちは生きるために、ぶつぶつこうかんで、一定量のお米を得る必要があった。
***
穀倉地帯コメーン川河口の三角地帯にて。
「今年はお米が豊作だぁ! この調子だと、美味しい銀しゃり、俺たちも食べれるんじゃないかなぁ?」
と、雇われ農夫、猿のもんきち。
「おい猿ども! 豊作だからこそ、いつも以上に働けよ? 獅子王ライアン様に納める年貢を、ちょろまかすわけにはいかねぇからな!」
と、猿をこき使い、田んぼを取り仕切っているのは、水田領主である蛙の、青ゲコ丸。
水田領主の蛙たちは、どうぶつたちの暮らしに欠かせない『お米』利権を握っているだけあって、かなり裕福な暮らしをしている。
***
王宮にて。
煌びやかな玉座に、獅子王ライアンの御身が鎮座する。
その目の前に跪くのは、青銅の鎧を着た、青ゲコ丸の姿。
騎士のような出立ちだが、ちょっぴり手入れを怠っているようで、鎧のところどころに緑青の錆が見られる。
「青ゲコ丸よ。今年も、稲作の管理に奔走してくれて、非常に助かった。将来的には、お前を王宮の重要ポジションに迎え入れたいと思っている。まぁ、来年の年貢の量次第であはるが、今後も頑張ってくれたまえ」
獅子王ライアンは、青ゲコ丸の肩をぽんぽん叩くと、ねっとりとした口調でそう伝えた。
「獅子王ライアンさま……なんとありがたきお言葉。もちろんでございます、必ずや、次も前年の収穫高を越してみせますとも」
青ゲコ丸は、鈍い色の胸板をゴンと叩き、自信満々にそう言った。
〈第二話『島の神木ゆぐどらーしる』に続く〉
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