第5話 危機

香織と涼介は、警察署の会議室に戻り、田中刑事と共にUSBメモリと手書きのメモを解析していた。警察署の窓からは門司港の夜景が広がり、静かな港の風景が暗闇に包まれていた。


田中刑事はモニターを見つめながら言った。

「このデータには、詐欺グループのリーダーとメンバーの詳細が記載されている。そして、次の犯行予定もある。」


香織はメモを手に取り、慎重に目を通した。

「次の犯行現場は、門司港近くの高齢者向けのコミュニティセンターのようです。」


涼介は深く頷き、

「すぐにチームを編成して、現場に向けた準備を始めましょう。」

と田中刑事に言った。


田中刑事は指示を出し、緊急会議を招集した。警察の捜査員たちが集まり、詳細な作戦計画が立てられた。香織と涼介もその場に参加し、警察のサポート役として重要な役割を担うことになった。


「次の犯行を未然に防ぎ、詐欺グループ全員を一網打尽にするためには、緻密な計画が必要だ。」田中刑事は真剣な表情で言った。


その夜、香織は自宅で一息ついていた時、突然電話が鳴った。受話器を取ると、不審な男の声が聞こえた。


「香織さん、お前たちが何をしているか知っているぞ。余計なことはするな。」


香織は一瞬、凍りついた。背筋が寒くなり、手が震えた。しかし、すぐに涼介に連絡し、状況を伝えた。


涼介もまた、自宅に戻ったとき、車が何者かに荒らされたことに気づいた。ドアが開け放たれ、中の書類が散乱していた。彼は冷静を保とうとしたが、内心の焦りを隠せなかった。


「私たちは狙われている。でも、ここで引き下がるわけにはいかない。」

香織は決意を込めて言った。


涼介も力強く頷いた。

「その通りだ。全てを終わらせるために、最後まで戦おう。」


二人は警察署に戻り、田中刑事に報告した。田中刑事はすぐに保護計画を実行に移し、二人の安全を確保するための対策を講じた。


翌日、香織と涼介は警察署で再び作戦の最終確認を行った。詐欺グループの動きを監視し、次の犯行を未然に防ぐための手順を細かく確認した。


「私たちが全力でサポートします。被害者を守るために、どんなことでもします。」香織は強い決意を込めて言った。


涼介もまた、過去の痛みと向き合いながら、「全てを終わらせるために、全力を尽くそう。」と力強く答えた。


その夜、香織と涼介は次の犯行現場であるコミュニティセンターに潜入し、見張りを開始した。


コミュニティセンターは、門司港の静かな住宅街に位置している。レンガ造りの建物で、歴史を感じさせる佇まいが特徴的だ。センターの入り口には広いエントランスホールがあり、訪れる人々を温かく迎える雰囲気を醸し出している。


内部には、高齢者向けの様々な活動が行われる部屋が点在している。多目的ホール、読書室、手芸教室、運動スペースなどがあり、地元の高齢者たちが日々集まり、交流を深めている。夜になると、その賑やかな雰囲気は静まり返り、薄暗い照明がセンター全体を包み込む。


香織と涼介は、センターの裏手にある非常口から静かに侵入した。建物内はひっそりとしており、彼らの足音が微かに響いた。警察のサポートを受けながら、二人は慎重に廊下を進み、詐欺グループが現れるのを待った。


静かな緊張感が漂う中、香織は心の中で祈った。「被害者たちを守るために、全てを尽くす。」


涼介もまた、祖父のためにこの任務を成功させることを誓い、

「全てを終わらせるために、全力を尽くそう。」

と決意を新たにした。

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