『やめろ!創作論は争いのための道具じゃない!!』


 ホビー漫画ってあるじゃないですか。

 おもちゃメーカーと子供向け漫画雑誌がタッグを組んで、販促用に連載形式(もしくは単発の読み切り)の漫画を載せるやつです。


 ここ数年、何度か『ホビー漫画あるある』というのがたびたび流行りました。

 読んで字のごとく、ホビー漫画という少々特殊なジャンルにおいて頻出するシチュエーションやキャラクターについて面白おかしく語ろうというものです。

 たとえば、主題になるホビーが世界中で当たり前のように遊ばれているとか、ホビーがまるで意思を持っているかのように動くとか、わりとカジュアルに人が死ぬとか、そういうシチュエーションです。

 タイトルの『やめろ!〇〇(ホビーの名前)は争いのための道具じゃない!!』のようなセリフもそのうちのひとつです。


 こういった漫画で販促を行うホビーは、たいていの場合『商品を複数購入して多種多様なカスタマイズを楽しむ』ものであることが多いです。

 しかし、漫画の登場人物たちはほぼ確実にをカスタマイズせずに使用しています。

 当たり前ですよね、現実世界の商品は『彼らが使ったのと同じ機体』として売り出すのですから、登場人物はカスタマイズはしたくてもできないか、カスタムされたものがバージョン違いとして売り出されるか、たいていの場合はどちらかになります。

 しかし、商品としてはあくまでも『カスタマイズ』を楽しむことを前提にしたもの。

 よほど酔狂な人でない限り、素組み……カスタムしない状態使わない、という人はいないでしょう。


 素組みといえば、プラモデルや模型のような立体造形に目を向けると、既製品のカスタマイズを通り越して自分でイチから作るという人まで出てきます。

 オリジナルの塗装は当たり前で、原作には登場しないオリジナルのロボットを作ってみたり、正確に再現されていないキットにディテールを足して、再現性を高めてみたり。

 とにかく、自由度が高いのです。


 創作論も、これと同じだと思うのです。

 世にごまんと存在する創作論、その中からたったひとつだけを選んで、それをひたすらそのまま使い続けるのではなく。

 沢山の創作論を読んで、それらの中から『自分が使いたい部分』を抜粋して、自分だけのカスタマイズを考案する。

 創作論以外の分野からもアレコレ持ってきて、自由に組み込む。

 それこそが、本来あるべき創作論……というか、創作の姿なのではないでしょうか。

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