はなれしを追うのも楽し薔薇の中

はなれしを追うのもたのし薔薇の中



季語は、薔薇です。



今日は、二人で薔薇園に。


たくさんの薔薇を鑑賞できる上に、食用薔薇を用いた喫茶も楽しめるらしい。


彼女は、とても嬉しそうだ。

外出の予定を話していた時も、移動中も。


そして、今は。


「見て。入口のそばから、あんなに薔薇が……!」

薔薇園に入場した途端に、ぱあっ、と輝くような笑顔。

確かに、門をくぐると、そこはもう、薔薇に囲まれているみたいだ。


あれも見たい、これも見たい。

そんな気持ちなのかな。


「ちゃんとついていくから、大丈夫だよ。でも、走らないようにね」

「うん、ありがとう!」

よそ見していたら、走り出しそうな勢い。

だけど、大丈夫。


ここには、きれいな薔薇も、素敵な薔薇も、たくさんだけれど。


僕は、君を見ているから。

少しくらいなら、離れても、大丈夫。


すぐに、飛んでいくよ。


だから、どうか。


たくさんの薔薇を、楽しんでほしいな。



※はなれ、には、離れ、と放れ、を掛けております。


少しだけ距離ができても、今日は、大丈夫。


むしろ、楽しそうな彼女を見ていられることが、嬉しいから。


はしゃぐ彼女と、たくさんの薔薇と。


彼の楽しみは、まだまだ、尽きません。

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