リラの前いつかのたびを約束に

リラの前いつかのたびを約束に



※季語は、リラ。フランス語名です。

英語名はライラック、和名はむらさき丁香花はしどい

札幌市の木(花はスズラン)で、淡い紫色が有名ですが、品種改良により、紫以外にも、白、青、紅色なども存在するそうです。

晩春の季語でございます。



「ライラック。花壇でも、育てられるんだね」

花辞典みたいなサイトをスマホで確認してから、彼が言った。


「ね。うちの大学の花壇、色々あって、ほんとうに素敵」


チューリップの花壇のおかげで、あなたにも、会えたし。


これは、もう何回も伝えたこと。

今日は、言わないでおこう。

ただ、これを言うと、真っ赤になるところも、大好き。


「もしかして、ライラックって、北海道のイメージだった?」

「そう、そうだね。ライラック畑とか、あとはラベンダー畑だっけ。一面のライラックとか、ラベンダーと、君。素敵だね、きっと」


真顔。


……きっと、本気で言ってくれてる。


かわいいとか色々、ほかの誰かに言われても、こんなに嬉しいはずは、ないよね。


「ありがとう。じゃあ、いつか、連れて行って?」


「うん。……あれ? 北海道、遠いよ! 旅行になるよ! 泊まりだよ?」

「そうだね。……旅行、楽しみ」


「……楽しみ。うん。いつか、ね」

もごもごと口ごもるところ、かわいい。


遠視だから、めがねがないと目つきが悪いからって、裸眼でも見えなくはないのに、いつも、めがね。


でも、それでいいんだ。


にらんだみたいな目つきも好き、とか、むしろ、それもかっこいい、とか。


そんなふうに思うのは、私だけ。


いつかの旅も、それ以外も。


二人でだから、ね。



※たび、には旅と度を掛けております。


まだまだ先になりそうですが、いつかは二人で、北海道へ。


たくさんの約束。

色々な、行きたいところ。


大学の花壇のライラックでも、嬉しくて、楽しい。そんな二人でございます。


次は多分、どこかに夏の花を見に行くのでしょう。


旅行はまだまだ、先のようです。







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