No.1ホスト、転生先のシナリオを知る①

サスティナブルな悪役令嬢ことスカーレットの悪役としての働きぶりはNo.1ホストである俺も脱帽するほどのものだった。


まずこのクソゲーには、5人の攻略キャラがいてそれぞれにハピエンとバドエンが用意されているらしい。


1人目はこの国の第一王子である、シアン・スティードだ。シアンは銀髪にサファイアのような青い澄んだ目を持つ、まるでガラス細工のように美しいイケメン王子らしい。絶対、前世での俺の方がイケメンだと思うがな。性格としては冷静沈着で何事にもたじろいたりしない、まさに氷の王子。執着される事をこの上なく嫌っている。このシアンルートに行く場合、俺はシアンの婚約者として主人公に邪魔をしていくらしい。ハピエンの場合、王子は無事に王位継承権を継ぎ、ヒロインと結婚。そんでもって俺は、今までの悪事から処刑される…それも四肢を曲がれて。およそ、処刑のやり方が乙女ゲーとは思えない。そしてバドエンの場合、俺ことスカーレットが主人公を殺そうと禁忌の魔法でドラゴンを喚び起こし、この国はめちゃくちゃ、そんな国を救うため王子は遠い国の国王へ愛妾として嫁ぎ、主人公とは離れ離れになるらしい。ちなみに俺は、禁忌魔法を使った代償に死ぬ。って、、え??愛妾に?王子が?


「ヒロインが愛妾ならまだ分かるけど、なんで王子が?男だろ‥?」

「ん?あぁ、まぁでも王子って美人系のイケメンだし、そんな男とか関係ないよ。ってか何よりも、オタクとしては自分が不幸になる事より推しが、つまり今回で言うとシアンが不幸になる事の方がダメージくるの。分かるかなぁ〜この気持ち、分からないか。まぁ‥稀に反対の人もいるけど。だからね、このゲームのバドエンは基本主人公が不幸になるんじゃなくて、攻略キャラが不幸になるの。」

「な、なんてクソゲーなんだ‥」


まぁ、そんな事は置いといて2人目の攻略キャラはなんと女子キャラっていうんだからめちゃくちゃ驚いた。この国の王女であるヴァイオレット・スティアードだ。ラベンダー色の髪に月の雫のような美しい瞳を持つまさに美少女。ちなみに、シアンとは腹違いの兄妹でシアンは王妃の子、ヴァイオレットは側妃の子らしい。そのためか、王位継承権を勝ち取るため兄であるシアンの事を心底嫌っており、負けず嫌いで色々と難しい性格らしい。このゲーム唯一の悪役だけあって、そこそこの魔力を有しているスカーレットは、このヴァイオレットに心底嫌われているらしい。こういう勝気な女の子、ホスト時代だったら堕とし甲斐があって好きだったんだけどなぁ〜。まぁね、無理ですね。

ヴァイオレットルートのハピエンは、主人公がヴァイオレットの心を解きほぐして、2人で世界中を旅して暮らし一方で俺は、シアンの婚約者でありながら主人公のみならずヴァイオレットに対しても嫌がらせをしたとして晒し首となる。なんでシアンルートでもないのに嫌がらせしたのかって?こっちが聞きてぇよ‥と言いたいが事情はこうらしい。シアンに相手にされる事なく、ストレスが溜まりまくったスカーレットは、ストレス発散に自分と同等かそれ以上の魔力を持つ主人公とヴァイオレットが気に入らなかった、とか。無理矢理すぎないか?バドエンは、ヴァイオレットはシアンを毒殺しようとしたとして処刑、スカーレットはいつまでも自分を嫌うシアンに恨みを募らせ、ヴァイオレットに毒殺するよう唆したとして火炙りの刑。安定のクソエンドだ。

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