No.1ホスト、転生の経緯を知る

あの後俺は10分ほど屍のようになり何で俺が…とか色々呟いてた(クソ姉貴談)。


「まぁ、そんな事は置いといて、あんたさぁ何で自分がこの世界に来たとか覚えてる訳?」

「それが分かったら苦労しねぇよ…」

「…そう。」


今までのふざけた雰囲気とは打って変わって急に姉貴は真剣な眼差しで俺を見つめた。


「な、なんだよ。そんな真剣な顔して…別に大した事じゃないんだろ?脅かすんじゃねぇよ…」

「あんた…本当に覚えてないの…?」

「…は?だぁかぁらぁ!!分かってたらこんな混乱してねぇって…なんか知ってんなら教えろよ。」

「…あんた、誕生日の夜刺されて死んだのよ。」

「………え?俺が?」


えーと??この俺が?歌舞伎町No.1ホストだぞ??待った待った…ってか俺は死んでるの??それもアフターの途中で‥。


「一体、一体誰が!俺を殺したんだよっっ!」

ガンッッッ!!!

混乱のあまり俺は、姉貴の胸ぐらを掴んで縋りついた‥。だっておかしいじゃん、俺殺されるようなことしてない。ただ輝きたくて、ずっと‥こんな事あっていい訳ない。

何年振りかの弟の鋭い眼差しに耐えかねたのか、姉貴は重い口をようやく開いた。


「私も、犯人は知らないんだ。警察から電話が来た後に、私も事故で死んだから‥ごめん。」

「‥ご、ごめん。ちょっと取り乱した、まさか姉貴‥もしかしてその事故って、、」

「‥はぁ〜そんな辛気臭い顔しないでよ。別に事故はあんたのせいでもない、ただの私の不注意!」

「そ、そっか‥うん。」


姉貴の話では、俺はホテルで刺されて死んでいるところを発見されたらしい。姉貴は、警察の元へ行く途中に飲酒運転に巻き込まれて死んでしまったとか‥。本当、死ぬほどツイてない姉弟だ。まぁ、死ぬほどってか死んでるんだけど。つまり、姉貴の話から言えるのは俺を殺した犯人は十中八九、俺とアフターに行った姫で間違いないだろう。


「まぁ、それもあんたには伝えなきゃと思ってたんだけどね、それよりも伝えたい事があってここに来たの。」

「‥は?これより伝えたい事って何?まだ、なんかある訳?」


姉貴はまた、気まずそうに目を泳がせながら言った。

「あんたも、自分の今の風貌を見てある程度察してるとは思うんだけど‥あんたの今の転生先ね、どのルートでも死亡エンドしかない悪役令嬢なの。」


俺は度重なる衝撃に耐えきれず、夢であってくれと願いながら気づけば泡を吹いて倒れていた。令嬢とはあるまじきあられもしない姿で床に倒れながら俺は、薄れゆく意識の中で、姉貴が俺のメイドを呼ぶ声が聞こえた‥。


(まじで‥‥ふざけるのも大概にしてくれよ‥神もクソもねぇだ‥ろ‥)

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