第11話


 「君と手合わせしてみて分かったんだ。君なら、彼の「呪い」を解くことができるかもしれないってね」


 「呪い…?」


 「彼の能力について、興味はないかい?」


 「ありません」


 「彼の能力が、「組織」と関係しているという点には?」




 …。



 組織と…、関係している?



 この男が学校でも有名になっているのは、さっきも言ったように“魔力を持っていない”という点だ。


 そんな奴が推薦枠に入ってるんだから、そりゃ有名だよねって話ではある。


 そもそも学園に入る段階で入学試験があって、「魔力総量」という数値がれっきとした検査項目にあるんだから、魔力が無いっていうのは通常審査対象外の扱いを受ける。


 それでもこの男が入れた理由。


 それは彼の能力が、他の生徒と比べても異色だったという点にある。



 「君も知ってるでしょ?彼の能力を」


 「知ってるには知ってますけど」


 「魔力を持っていない代わりに、どんな魔法も無効化してしてしまう。実に興味深い能力だよね」



 そう。


 聞いた話では、彼はあらゆる魔法に対して耐性を持ち、『絶対領域』と呼ばれる特殊な領域内において、相手の「能力=スキル」を一時的にコピーできる。


 能力っていうのは、つまり…



 「彼がこんな体質になってしまったのは、ある事情があってね」


 「事情?生まれつきとかではなく?」


 「そもそも彼は人間じゃないんだ。エルフでも、オーガでもない。彼をどういった括りで表現するのがいいか、僕も困ってるんだ。彼がこの学校に入っているのも、”リリム博士”の差金だし」

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