第7話


 ただ、曲がりなりにも相手は“教官“だし、私より実力があることは明白だった。


 しかも、「特別講師」という謎の担当部署に所属している先生だった。


 正面から襲うには不用心すぎる。


 教官が扱う魔法のことも知らなければ、どんな戦術を得意にしているのかも…



 とある情報筋から、教官のことを事前に調べ上げ、隙ができるタイミングを見計らって奇襲を仕掛けた。


 死角からの奇襲は見事、成功したかに見えた。


 捕まえたと思った。


 確かな感触が、伸ばした右手の中にあった。


 ただ——



 「君にとって悪い話じゃないと思うけど?」



 教官は微笑むような優しい面持ちで、私を見る。


 相変わらず不気味な人だ。


 心が読めない。


 黒魔法を扱う魔導士は大体変な人が多いって聞く。


 その説はあながち間違ってないんだろうと思う。


 教官以外にそういう人と関わりがあるかって言われると微妙だけど、黒魔法自体が特殊なカテゴリーだから、普通の人だと上手く扱えないんじゃないかな?


 黒魔法は元々自然界には存在しておらず、”反魔法領域“として、国際的にも禁止されていたわけだから。

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