第6話


 貴重な時間を、こんな無駄な会議に使いたくはない。


 話を聞こうと思ったのは、今回の仕事の「報酬」が、私にとって『有益な情報』であり、知りたくても知れなかった“貴重な手がかり”になり得たからだった。


 ——そう、6年前、師匠を殺した【黒装束の男】の。



 「遅刻したのは悪いと思ってるって」


 「そんなことはどうでもいいの。時間の無駄だと思って」


 「時間の無駄って…」



 彼はキョトンとしながら、困惑した様子だった。


 今回の「仕事」がなんであれ、内容が報酬の価値に見合うとは思えない。


 最初は良いと思った。


 手がかりが他になかったし、噂によれば、教官は6年前にあった“事件”の関係者と、小さくない繋がりがあったと聞いていたからだ。


 事件の渦中にあった黒装束の男のことも、もしかしたら知っているかもしれない。


 そう思った私は、直接教官に問いただした。


 そしたら、案の定…



 「情報を受け取りたくはないのかい?」



 会議室から出ようとする私に、教官は口を開く。


 「まあ座って」と促す落ち着いた口調からは、穏やかな感情の動きが読み取れた。


 情報は知りたい。


 知りたいに決まってる。


 だから私は、力ずくで教官から聞き出そうとした。


 つい先日のことだった。


 相手は「教官」という立場の人間だけど、関係なかった。


 私がこの学園に入ったのは、師匠を殺した奴らを見つけ出し、復讐を果たすこと。


 そのための手段を選ぶつもりはなかった。


 チャンスがあるならば、それをモノにしようと思った。

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