第4話
…ああ、騒々しい。
教官は彼と楽しそうに会話している。
この2人がどういう関係なのかはよくわからない。
教官は「特別講師」という立場の人だから、各教科を担当している先生とは少し勝手が違う立場にある。
専門とする分野は『黒魔法』。
すごく聞こえは悪いけれど、戦闘という観点に於いて、これ以上適した魔法はないと、私は思っている。
黒魔法は世界に存在する属性のうち、光属性以外の全ての魔力(マナ)を扱えるカテゴリーの一つで、巷では、“呪いの力”と揶揄されることもある。
教官は、史上最年少で国際魔法協会の“大魔道士”にまで上り詰めており、その実力は自他共に認めるほどの逸材だった。
ただ、性格にはかなり難がある。
どうして教官になれたのかわからないほどズボラだし、第一に、真面目に生徒と向き合っていない(と私は思う)。
これは個人差があるだろうけど、少なくとも私は、教官に対して適切なアドバイスをもらったことも、魔法に関する知識や技術を教えてもらったこともない。
授業と言えばいつもくだらない話ばかりで、魔法に関係ないことばかり。
教官と知り合ってもう2年になる。
初めて出会ったのは、学校に入学してから1年が経った頃。
セントラル・アカデミーでは、1年間の総合学習期間を経て、各自進路を決めるためのステップに入る。
2年目からは、アカデミーが用意した全6学部23学科の進路に分かれ、各々が学びたい「分野」に向けて、約4年間の教育期間を経ることになる。
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