第6話 歌う蛙。作詞する蛙。


 明くる日。

 私は人生で初めて蛙として目を覚ました。

 今の私レオンがホムセンで購入した、生きたコオロギを食べる。


「さて、喉慣のどならしにカラオケ行こう」

「誰の喉慣らし?」ケロ?

「俺とキョウカの」


 そうしてカラオケで歌った今の私レオンの歌声は、我ながら神だった。


「えっ、これが私の声!?」ケロケロ

「元々キョウカの声は悪くなかった。もちろん俺の技術と経験は大だが、元がなけりゃこうはならない。後は、良い曲さえあれば行けるはず。キョウカの持ち歌はどれだ? カラオケに入ってる?」

「一曲だけ入ってるよ」

「よし、歌おう」


 文字通り生まれ変わった私の声、最高!

 ……いや、満足していないプロがそこにいた。


「うーん、歌詞はいいけど曲がダメだな」

「分かってたけど、ハッキリいうね」ケロー

「ああ、悪い。光るものはあるんだか……アレンジでもいいかもだが、新曲作ってもらうか。俺の知り合いに頼もう。歌詞はお前に任せたぞ」

「えっ、私?」ケロッ?

「お前の曲だからな。それに、いつかこの体に戻るかもしれないだろ?」

「あっ。……それ本気にしてたんだ……モゴモゴ……うん。もちろん作詞するよ」ケロロ!

「さて、今度はキョウカの番だぞ。蛙で良い声を出すコツだけど、実は人間とそんな違いは無くって……」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る