第7話 シュウへの尋問
『貴男の名前と所属を答えて』
「待ってくれ、アンタらの質問には正直に答える。その代わり、オレの方からも質問を許して欲しい」
『答えられる範囲は限られると思うけど、それで良ければね』
「OKだ。オレは『
衛星軌道上の宇宙コロニーには、過去の偉人の名前が付けられる例が多い。ラプラス・コロニーは割りと古参的なコロニーだったはず。
『貴男が、知りたいことは?』
「アンタらと軍は、どう言う関係なんだ? お友達ってわけじゃなさそうだよな」
『一言で言うなら……わたし達が、密猟者を取り締まってる感じね』
「密猟者? 軍がか?」
『軍だけではないわよ。地表の国家は、宇宙圏とは関係なく自治をやってるの。宇宙圏の連中は、勝手に庭に入り込んで人や物を持ち去っていくわけ。誘拐や泥棒を取り締まるのは当然でしょう』
「いや、待てよ!」
急にシュウの声が大きくなる。密猟者扱いで逮捕されたと知って、ショックだったらしい。
「少なくとも、オレ達は化獣を退治するために来たんだ。確かに、力不足は認めるけどさ。でも、アンタらだって化獣には迷惑を被ってるはずだ。協力しようぜ」
『協力?』
「化獣の生体組織は、研究素材として軍が買い上げてくれるんだ。化獣退治で、オレ達は金になる素材を手に入れる、アンタらは化獣の脅威が取り除かれる……ウィン・ウィンだろ?」
化獣の生態や性質がわからない頃、こちらから手を出して随分痛い目を見た。しかし、化獣が実は大人しい性質で、手を出さなければ攻撃してこないことが周知されてからは被害は大きく減った。
化獣は、自らGエリカからは出てこない。消極的な形ではあるが、地表の人間と化獣は共存ができている。
『宇宙圏から降りて来て、貴男たちが勝手に化獣を攻撃するからとばっちりをわたし達が受けてるのよ。わたし達が取り締まるべきは、化獣ではなくて貴男たち宇宙圏の存在よ』
「いや、オレ達は地表の連中に危害を加える気はねえよ!」
『都市の防壁に化獣を誘導してたじゃないの。さっきだって、ドラゴンが方向を変えなかったら都市は大変なことになってたわ』
「……」
ドラゴンの戦闘力は決して高くない。それでも、18センチ砲や
「あのよ……さっき、誘拐とか泥棒って言ったよな。そう言うことも軍はやってるのか?」
『そうね』
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