第5話

研究所の中、赤髪の男が1人で熱唱している


「貴方のその……胸……の……

なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


ガチャ


「鼠が来たよ」




「歳頃の男性の部屋にノック無しで入るなんて失礼じゃないか」


「貴方もうそんな歳じゃないでしょ」


「はぁ!?言ったな!!まだシベリウスも腰を抜かす程のお兄さんですけど!!」


2人が廊下を走る音が響く。白髪で赤のメッシュをいれた女と赤髪で黒のコートを着た男。研究所内に鼠が来たと知らされ排除に向かう最中。こんな所に忍び込むなんて余程の馬鹿か何処かの組織か。


「以前、遊びに来た女の子がまた来たのかな」


「だったらいいわね、絶対研究室には入れさせないでよ。あの人を危ない目に遭わせたくないから」


「同意見だね、足引っ張んじゃねぇぞ」


2人は走りながら武器を取り出し二手に別れた。1人は短剣を、もう1人は指揮棒を取り出した。



「その道を左だ」


「了解」


ホークアイは黒光りする銃身の長い銃を持ち見回りしてる兵士を退けていく。1発1発麻痺弾を敵の装甲が薄い場所に打ち込んでいく。

そして子供達が監禁されている部屋の前にたどり着いた。


「そこだ、カードキーは先程の兵士を漁った時に手に入れただろ。それで中に入るんだ」


「了解」


ホークアイは兵士から回収したカードキーを取り出した。だがその時、後ろから音が聞こえてくる。


「待て、何か来ている」


「戦闘態勢、アーマー、ウェポン、ガジェット、エネルギー、オールグリーン。逃走を視野に入れといてくれ」


ホークアイが振り返ると道の奥から指揮棒を振っている男がこちらに近付いてくる。目を瞑って口角を上げ指揮をしている。楽器を奏でている人がいないのにその男が近付いてくる程音楽が鮮明に聞こえてくる。男は指揮棒とは反対の手を握り音楽を止めた。


「ハロー、お客様。前は秀麗なレディが来たのだが今回は違うようだ。今日は何用で?」


「この場所で赤子や子供を攫って監禁していると情報を掴んだ。その子達は返してもらおう」


ホークアイは銃口を男に向け、鋭い眼差しを送る。狩りを始める鷹の様に。


「あぁ!貴方、前に来たレディと同じ組織のお方?だったら言伝をしてくれないか?茶菓子を用意してるからまたおいで、と」


「俺とあの人は会う機会が少なくてな。手紙でも書いたらどうだ?ゴッホは自分の左耳を切り落とし知り合いの娼婦に送りつけたと聞くが……お前の耳も送りつけてやろうか」




ハンドガンを撃ち続ける、何発も撃って怯んだ瞬間にブレードでとどめを刺す。そのスピードは閃光の様で打たれ斬られるまでの間隔はとても短い時間だった。


「て……ろ……」


かろうじて息をしている兵士がいた。頭の装甲を外し吐血しながら何か言っている。


「聞こえないわ」


「……俺のナニでも咥えてろ」


「自分でやりな」


バンッ



「赤子がいるのはこの部屋だったわよね」


「あぁ、カードキーは手に入れてたな。早急に赤子を救って帰還しろ」


シリルがカードキーをスキャンをしようとした時、後ろから気配を感じた。

ブレードを構え振り返ると目の前で火花が散った。白い髪に赤のメッシュを入れた女が短剣を持っていた。


「……このスピード、着いてこれるんだ」

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