第3話


「シアから招集だって!何があったのかな」


「さぁな」


廊下に二人の足音が響く。シアから招集され管理室に向かっている最中だ。

招集されることはそこまで珍しくない。新システムの実装や四人で任務をこなすために呼ばれることがある。


「でもホークアイと一緒なら余裕だね」


アイネは笑顔でホークアイにそう問いかけた。だがホークアイはそっけない態度を示した。


「油断すると足元を掬われるぞ」


「むっ、分かってるよ!」


アイネはそっぽを向いた。だが横目ではホークアイのことを見ていた。緑色にたなびく髪、十字架のネックレスを下げ、鷹の様に鋭く黄色に輝いている眼。ホークアイのことを見ていると心臓が落ち着かなくなる。アイネは頬を赤らめていた。



「先日、シリルが依頼された研究所に出向いた際、数多の赤子が囚われている部屋を見つけた。色々調査した際、赤子だけでなく子供もいることが分かった。」


そういうとシアは手に持っている資料を机の上に広げた。


「前にシリルが見つけた赤子の部屋はここ、子供がいる部屋はここだ。この先には実験室と休憩室、あとキッチンなどがある。俺らはここの部屋に入り赤子、子供を連れだす。」


シアの声はいつもより強張っている。資料を指差し説明を続ける。


「前回、ここの所属と思われる敵とエンカウントした。赤髪で黒のコートをした男だ。もし鉢合わせしたら単独で戦わないこと、自分の身の安全を優先すること、そして敵が二人以上いる場合は逃亡を優先、なるべく戦わない選択肢をとってくれ。俺は無線室から指示を送る」


「分かった!」


「アイネ、君は入口で見張りだ」


「え?」





「うええぇええん!!私も一緒に行きたいよぉー!」


アイネは目から大粒の涙を流しながらホークアイの腕を掴んでいる。おかげでホークアイの袖は濡れていた。ホークアイは困った表情をしていたが、はらいのけたりはしなかった。イヤイヤとホークアイの腕に顔を左右に擦り付ける。


「見張りも重要な役割だぞ」


「そうだけど……」


アイネはホークアイの袖から顔を上げ、泣き止んだ。


「任務の日は夕飯ハンバーグにして」


「分かった……」


ホークアイにそんなお願いをした後、アイネは訓練所に行ってしまった。そんな姿に少し子供っぽさを感じたホークアイだった。

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