推挙するわが文をみてひと読まばひとつぶで二度おいしからずや

【読み】

すいきよするわがぶんをみてひとよまばひとつぶでにどおいしからずや


【語釈】

推挙(吹挙)――①官途や、ある仕事などにつくように、また、地位などが昇進するように取持つこと。推薦。吹嘘(すいきょ)。②中世、他人の支配に属している者が自分の名義で訴訟する時に、主人に当たるものが裁判所に対して取り次ぐ旨の書状を添付すること。挙状。③よいものとして人に勧めること。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

すすめるむねのわたしの文(=レビュー)を見てだれかが(すすめるところのものを)読めば、ひとつぶで二度おいしくあるまいか。


【付記】

この世にはむずかしことが多々ある。そのひとつに、ひとに物をすすめる行為があると思う。みずからの現状を鑑みるに、わたしが高く評価した作品よりも酷評した作品がむしろ読まれうる気さえする。ひとに物をすすめて、50%くらいの頻度で大なり小なりだれかに届けば良いのだが。


自作を見てもらおうと思えば、返報の原理を利用してある程度どうにかできるだろう。しかるにレビューを以ってそれが顧みられるのを期するのは、同日の談でないと思う。多くのひとが楽しめて、なおかつその作者の人間が出来ている作品をすすめるのが近道かと愚考するが、どうしてスコッパーにはなりたいものである。


ときに、「1粒で2度おいしい」は、江崎グリコが自社の「アーモンドグリコ」なるキャラメルに賦したキャッチコピーのよし。広告が芸術だった時代はもう来ないだろうか。

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