第9話最強そうな魔法を沢山ぶっぱなしてみた

ゲイル:「おぉ!ケイト!来ていたか!今の緊急クエストは聞いたな!お前との対決はまたの機会だ!とにかく今はスタンピートを凌ぐぞ!」


モンスタースタンピート。知っている。

俺が見ていた異世界ものではダンジョンとかで起こっていたが…この世界では普通の森でも起こるのか。


圭人:「あ、ああ!」


どこに行けばいいか分からず、ゲイルに付いて行く。


ナンシー:「あんたはこっちさ!」


ナンシーに呼び止められる。


ナンシー:「魔法使いが前衛に出ちゃダメだよ!あんたはあたしの横で魔法撃ちな!いきなりだけど実践訓練だ!」


街の入口の左右に魔法使いが配置されている。


ナンシー:「さ!魔物が来たらあんたはここで魔法を撃つんだ!」


圭人:「な、なぁナンシー。提案があるんだ。」


ナンシー:「なんさね、こんな大変な時に!」


圭人:「魔物が来たら1発だけナンシーの前で魔法を撃つ。その魔法がナンシーに認められるなら俺は前へ出て魔法を撃つ。これを許してくれ。」


ナンシー:「何言ってんだい!新人魔法使いの冒険者が!死にに行く気か!」


圭人:「ハナから死ぬ気なんてないよ。とにかく俺の魔法を見て欲しいんだ。」


ナンシー:「はぁ…わかったよ!あんたの魔法見せてみな!Sランクパーティの魔法使いナンシーに認められるだけの魔法をね!」


圭人:「ああ、やってやる。」



ナンシー:「ああそうだケイト。ほら、私のローブ。貸してやる。必ず、返しに来い。」


圭人:「…。わかった。必ず返す。」


正直自信はない。しかしゴブリンを倒した時の魔法の威力。あれほどの魔法があれば恐らく行けるだろう。

しかし後衛であの魔法を放てば前衛にいる味方に被害を及ぼしかねない。


そしてその時がやってきた。


「魔物だー!!!」


前衛部隊が前へ出る。


ナンシー:「ほら、魔物が来たよ!撃ってみな!」


圭人:「火属性魔法。ファイアバレット」


無数の日の矢のようなものが飛んでいく。

そして着弾地点で無数の爆発。


ナンシー:「な、なんだいこの魔法は…」


圭人:「ファイアバレットだけど…」


ナンシー:「ファイアバレットだって?ファイアバレットなんて数だけ立派でダメージは少ない初級の魔法じゃないか…」


圭人:「どうだ?前へ出ていいか?」


ナンシー:「あ、ああ。あんた、何者なんだい。」


圭人:「昨日冒険者登録された魔法使いだよ。」


そして俺は本気で踏み込み、ダッシュで前へ向かう。

さすが素早さが高いだけある。

一瞬で前衛部隊に追いつく。


ゲイル:「っ!おい!ケイト!お前は後衛だろう!なにしてんだ!っまさか!さっきの爆発。あれはお前か?」


圭人:「ゲイル!すまん!話はあとで!」


そして更に前へ俺は出る。


ゲイル:「っおい!待て!死ぬ気か!!」


ミア:「っ!!あれは…ケイト!?流石のケイトでもあの数相手だぞ!無理だ!やめろ!」


俺は前衛の更に300m程先の最前線に立った。

魔物の軍勢はすぐ目の前だ。


圭人:「ふぅ…緊張するな。そして怖い。この世界に来て俺がチート能力を持っていることは十分にわかったよ。けどこの数にも通用するのかな。」


深呼吸をする。無理そうなら早めに退避しよう。


圭人:「っし!最上位火属性魔法 エルファイアストーム」


無数の火の玉が敵の元へ降りかかる。


「最上位水属性魔法 バブルボム」


1000は超えてそうな敵の数を泡で包み、爆発。


「最上位風属性魔法 サイクロンスラッシュ」


竜巻を起こし、巻き込まれた敵をバラバラにする。


ん?なんか大群におあつらえ向きそうな魔法がある。


「闇属性魔法 ブラックホール」


軍勢の3分の1程がブラックホールへ吸い込まれ、1箇所に集まる。


「最上位雷属性魔法 サンダーライトニング」


無数の雷が降り注ぐ。


恐らく魔物の3分の2は減っただろうか。


圭人:「あれ、この魔法は…」


「聖属性魔法 サンクチュアリ」


白いバリアのような空間が一気に半径30キロ程の範囲で展開される。


すると範囲内にいる魔物が一瞬で消え去る。


圭人「おいおい、やっぱりこの魔法。魔物相手には最適な魔法だ。」


あれだけいた魔物が残りの20体ぐらいまで減ってしまった。


残りは簡単に行けそうだな。

「火属性魔法 ファイアバレット」


圭人:「あれ、終わった…?」


後方ゲイル:「な、なぁミア…俺たちぁ今何を見てるんだ…」


ミア:「わ、私も分からない…一体…なにが…」


「グオオオオオオオオ!!!」


けたたましい雄叫びが鳴り響く。


森の中から赤色のドラゴンが出てきた。


ゲイル:「っ!!!お、おいあいつは!!SSSランクの天災級!ブラッディドラゴン…!さすがのケイトでもあいつは…なんなら俺たち全員でかかっても…」


ミア:「敵わん…だろうな…これまでか…」


圭人:「ドラゴン!!!初めて見た!!」


今まで物語上にしか存在しない空想の存在にテンションが上がる。


圭人:「こ、怖いけど…さ、触ってみたい… !!」


あくまでも圭人は16歳の高校生。好奇心には抗えなかった。


ドラゴンの元までダッシュしていき、高く飛ぶ。そしてドラゴンの背中に乗ってしまった。


圭人:「うわ、かった!!ドラゴンの背中に乗ってるよ〜!!ふぉー!!!」


「グオオオオオオオオ!!!」


ドラゴンは真っ直ぐにエンジークの街へ向かっている。

圭人:「このままじゃまずいな。おいドラゴン!人の言葉分かるか!止まれ!」


ブラッディドラゴン:「なんだと…人風情が我に命令するとは…止まるわけがないだろう。」


圭人:「そっか、言葉が通じるのは分かったけど話は通じないみたいだ。おーいドラゴン!止まらないとお前の鱗を1枚ずつ剥がしていくぞ!まず1枚!」


ペリっと剥がれた。


ブラッディドラゴン:「いったーい!なにすんのよ!!」


圭人:「言葉遣い…変わってるぞ。まあいい。止まれ。」


ペリッペリッと1枚ずつ剥がしていく。


ブラッディドラゴン:「痛い痛い!!何こいつ!人種族のくせにこんな簡単に鱗を剥がすなんて!!」


ブラッディドラゴン:「分かった分かった!止まるから!辞めて!痛い痛い!!」


圭人:「分かったならこのまま地上に降りろ。」


ドラゴンは地上へと降りていく。


ゲイル:「な、なぁミア。もう一度聞くが俺たちは何を見てるんだ?」


ミア:「ドラゴンが現れたと思ったら…ケイトが背中に乗って…ドラゴンが街に行かずに降りてくる…なんなんだ…」


ドラゴンが地上へ降り立つ。

圭人も地面へ降りる。


ブラッディドラゴン:「背中に乗って我が攻撃できないのをいいことに好き勝手やってくれたな。覚悟しろ。」


ドラゴンが息を大きく吸う動作を見せる。


圭人:「ブレスか!させるか!防御障壁!」


ブレスをまともに受ける障壁。しかし壊れるどころか簡単に受け止める。


ブラッディドラゴン:「な、なんだと。無傷…」


圭人:「危ないだろ。後ろの街に被害が出たらどうするんだ。お仕置が必要だな。」


ダッシュでドラゴンの懐へ潜り込み…腹パンをくれてやった。


ブラッディドラゴン:「ッ…カハ…!!な、なにこの威力…ほんとに人種族なの…こんなやつに敵うわけない…無理よ…」


圭人:「まだやるか?もう1発行くぞ。」


ブラッディドラゴン:「分かった分かった!降参!降参します!」


圭人:「なんだ、意外と話のわかるやつだったのか。」


ブラッディドラゴン:「くっ、こんな屈辱…初めてよ…」


そう言うとブラッディドラゴンは何故か女の子の姿になった。


赤髪で歳は18歳から20歳ほどに見える。


圭人:「ちょっ!!待て!」


ブラッディドラゴン:「私の名前はメルヘリダス。このまま戦っても殺されそうだし、逃げても殺されそうだから人間の姿になって降参するわ。」


圭人:「わ、わかった!と、とりあえず!!!服を着てくれ!!ほら!このローブ羽織って!!」


ナンシーから借りたローブだが…致し方ない。


圭人:「ふぅ…人間になったにはびっくりした。そして肝が座ってるな…ただドラゴンなのに強者の誇りとか無いのか?一思いに殺してくれとか。」


メルヘリダス:「そんな誇り願い下げよ。死にたくないもん。」


圭人:「正直なんだな…。でスタンピートから生まれた存在がこんなはっきり自我を持ってることなんてあるのか。」


メルヘリダス:「スタンピート?あぁ、それであんなにうるさかったのね。気持ちよく森の中で寝てたらうるさくて起きちゃったのよ。それでイラついて見に来たらあんた達がいたから人間の仕業かって襲っちゃったってわけ。」


圭人:「そういうことか。うるさかったのは俺が強そうな魔法を沢山ぶっぱなしてたせいだな。」


メルヘリダス:「え、至る所で起きてた爆発って全部あんたなの?」


圭人:「あ、ああ…すまなかったな。」


メルヘリダス:「ま、まぁスタンピートがあったなんて私も知らなかったし…その…ごめんなさい。」


先程まで暴れていたドラゴンとは思えない。

根はいい子なんだろう。


圭人:「あ、あぁ。」


メルヘリダス:「私あんたに負けちゃった…私たちドラゴンの世界では敗者に居場所なんかないんだ。誰かに負けた時点で弱いドラゴンとして見られ、煙たがられる。」


圭人:「…それはすまなかった。しかしあのままでは街や人に被害が出てた。それは止めないきゃいけない。許してくれ。」


メルヘリダス:「それはいいとして、私帰る場所無くなっちゃったから、あんたと一緒に居ることにしたわ。」


圭人:「は、はぁ!?」















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