(三)-4

「ねえ、何か言ってよ、マキちゃん」

 楽屋に入ろうとする男性の前に、つぐみはなんとか立ちふさがろうとしていた。

「えっと……」

 マキは、何か言わなければ、事態は収拾しないような気がして、何を言おうが考えていた。しかし、こんなときになんて言えば良いかなんて全くわからない。

「あなたは黙っていなさい」

 マキの声が聞こえたのだろう、つぐみがマキの方へ顔だけ向いてそう怒鳴る。

「でも……でも……、ファンの人を大事にしないって……」


(続く)

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