(三)-3

「あんたたち、奥へ行きなさい!」

 再びつぐみが「ここは関係者以外立ち入り禁止よ!」と怒鳴る。

「始めまして。僕、マキちゃんの大ファンなんです」

 男はつぐみの大声にも怯まずに、会釈した。すぐにマキに向き直った。

「ねえ、覚えている? この前だって、僕、指輪を送ったよね、君に。受け取ってもらえたかな? すぐにとは言わないよ。一緒になって欲しいんだ、僕と」

 そう続ける男性に、つぐみは二度も「すぐに出て行きなさい!」と怒鳴ったが、男は聞いておらず、効いていない。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る