(二)-2

「そうよそうよ。そのおかげで半年間も活動休止させられたのよ。いい迷惑よ」

 アンナも椅子に腰掛けながら同調した。

「でももう大丈夫よ。出版社と、あの写真を撮ったカメラマンにも弁護士事務所を通じて法的手段をとったから。おかげで半年も時間がかかったけど」

「しかもあれ、私じゃなくて、大沢さんの方を狙ってたら、たまたま私が映り込んじゃったらしいのよね」

 マキが答える。

「大沢たつおって、あのプレイボーイの若手イケメン俳優でしょう。本当は何かいいことあったんじゃないの」

「やだあ、喫茶店でお茶しただけよ。やましいことは何もないわ」

「ハイハイ。ともかく今日は無事終了。次の会場は東京浅草の「業平橋ポンプステージ」よ。今日よりも気合い入れてやるのよ!」

「はーい」

 つぐみのことばに三人はけだるそうに、しかし、嬉しそうに返事した。


(続く)

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