幕間

報告 01

 ご相談いただいた件に関し、こちらで調べた内容を報告いたします。

 こちらの主観をまじえたものになりますので、その点ご容赦いただきますようお願いいたします。


 まず、長下部麻沙子は亡くなっています。英星女子高校関係者の非業の死が相次いだのと同じ年の十月に、遺体が発見されています。

 当時、長日部麻沙子と連絡がとれなくなったため、彼女の親族が家を訪ねたところ、家の中で冷たくなっていたのだそうです。死因は心不全とのことでしたが、何か伏せられているようでもあり、詳細は不明です。娘の麻美の死と関係があるかどうかは、私には判断致しかねます。

 また生前の長日部麻沙子に関してですが、同業の者いわく、霊媒師としては非常に有能な人物だったとのことです。とはいえ評判はあまりよくなかったようで、たとえば「他人を呪ってほしい」などといった依頼も引き受けていたと聞きました。

 ご相談の件については、何年も前のことであり、はっきりと「長日部麻沙子が企てた」と結論づけることは、私には致しかねます。


 続いて、長下部麻美に関する情報です。

 まず、彼女と小学校から高校まで一緒だったという同級生の女性(A)に話を聞くことができました。その結果、長日部麻美に関して彼女は「優しい」「しっかりしている」「大人っぽく頼りになる」という印象を強く持っていたことがわかりました。また「他人の世話を焼くのが好き」という特徴も挙げられました。

 また、地元の幼稚園で教諭として働いていたという女性(B)にも話を聞くことができました。Bによれば、当時の長下部麻美は「甘えん坊」で「こわがり」であり、先生にくっついていることが多かったので印象に残りやすかったとのことです。子供が成長するにつれ性格が変わることは珍しくなく、長下部麻美の場合も成長につれて「しっかり者で世話焼き」といった性格が表に出始めたのではないか、とのことでした。

 最初の女性を経由して、小学校および中学校の同級生だったという男性(C)からも話を聞くことができました。Cによれば、長下部麻美は「聡明で親切」だったとのことです。しかしその一方で「その場しのぎの嘘を吐かれたことがある人もいた」という評判もあったとのことです。個人的には彼女の性格の多面性が感じられます。


 続いて、長下部麻理子に関する情報です。

 長下部麻理子は長下部麻沙子の姉であり、麻美の伯母にあたる人物です。亡くなってから時間が経っていることもあり、短時間ではあまりはかばかしい情報が得られなかったことをお詫び申し上げます。

 おおむね好人物だったという評判ながら「嘘をつかれた」という証言も存在しています。交友関係は広いものの、特に親しい友人となると見当たらないようです。


 最後に長下部家の墓所ですが、ご連絡いただいたとおり、長下部家にほど近い■■寺というところで間違いありません。現在は寺が管理しているそうですが、管理をする親族がおらず、いずれは墓じまいをすることになる可能性が高いようです。


 以上です。

 何かあれば、引き続きお知らせいたします。

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