夜桜紅羽のVRMMO日記

@otoharin

第1話 プロローグ

『ニュース!話題のフルダイブ型VRRPG Evil Different World 20XX年 9月23日リリース開始!』


「フルダイブ型VRRPG、Evil Different World か...」


 最近フルダイブ型のVRゲームが流行っているらしい「evil Different world」通称EDWも期待の話題作の一つだ。


「けどなぁ。フルダイブ型のVRゲームしよってなると高いんだよなぁ。VR機器。高校生のバイトでは賄えないって.....」


 あんまり詳しくないけどうちのPCより高いだろうなぁ.....このPCでも半年めっちゃバイト頑張って買ったんだけど。


「そんなこと言っててもしょうがないか。さっさと周回ゲーして寝るか!」


 ルーティーンの周回ゲーをしてる間にいつの間にか寝てしまった。


「やっべ!今何時っ....ってまだ9時か....ちょっと早いけどもうそろそろバイトの準備するかぁ....」


夜桜よざくら 紅羽くれは、15歳の通信高校生自宅警備員である


「顔よし!スタイルよし!今日もうちはかわいい!じゃ、いってきまーす!」


そして、完璧で究極の自信過剰家ナルシストであった。


-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+少女移動中+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


「おはようございます!」

「紅羽ちゃんおはよう。今日も元気だねぇ」

「光さん!おはようございます!」


この方は朝日奈あさひなあかりさん。うちのバイト先の店長だ。


「そうだ紅羽ちゃん。話題のVR機器、うちも取り扱うことになったんだ。けど2つほど箱つぶれちゃって.....特別に破格で売るんだけどどう?」


そう言って光さんはちらちらとうちを見ている。かわいいな。この店長。


「いっいくらですか?」

「ほんとに?やった!3万円でどう?」


・・・はぁ!?!?3万?え?安すぎない?まじで?いや。聞き間違いかもしれない。もっかい聞いてみよう


「すいません。聞こえなかったんでもっかい聞いてもいいっすか?1台いくらですか?」

「えっと。2台で3万円だから1万5000円だね!」


・・・まじで?とりあえずほっぺたをつねってみる。痛い。強く捻りすぎてヒリヒリする。多分現実だ。


「まじですか?買います!」

「まじだよー。まいどあり!」


そう言って光さんはいたずらっ子みたいに笑った。かわいい。これがうちの店長か。最高かよ。


「EDWやるなら私もやるつもりだから一緒に戦いたいな。」

「やりましょやりましょ!なんか光さん強そう!」

「紅羽ちゃんも強そうだよー。なんか、強者のオーラがする!」

「そうですか?いやー。照れるなぁ。あっ。もうそろ時間なんで始めます!」

「りょうかーい。私も頑張るから頑張って」


-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+少女仕事中+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


やべぇ。バイト中ずっとVR機器のこと考えてたわ.....光さん2台でって言ってたよなぁ。お兄にいるか聞いてみよっかな。


「紅羽ちゃん!おつかれさまー。今日はこれで上がりだったよね!VR機器は紅羽ちゃんの家に送っとくねー。代金は今月の給料から引いとくね」

「( ´・ω・`)」

「そんな顔してもダメですーw」

「冗談ですよーwそろそろ上がります!お先に失礼します!」

「おつかれー」


帰る前にスーパーだけよって帰ろっかな。あっ。あと、光さんはうちのママのお姉さんの娘さん。つまりうちの従姉妹だ。うちとお兄がちっちゃい頃はよく遊んでもらっていたらしい。お兄よりずっと年上だけど......めっちゃかわいい。EDW は割と自由度高いらしいから、かわいい服とか着せてみたいなぁ。失礼か。これは。


「あれ。家ついちゃった。スーパー.....まぁ。いっか」


お兄にチャットしてみるか。


『お兄。EDW対応のVR機器持ってる?』

『持ってないな。来週買おうと思ってる』

『返事はやっw1万5000円でVR機器売るよ。光さんが3万で2台くれた』

『まじか。買うわ。ギフトカードのコードとソフト送るからそれでいい?VR機器は取りに行く』

『おk。交渉成立。』


お兄ソフト買ってくれるんだ。やっさし。よし。お兄に勝つために別ゲーの育成がんばろ。パソコン起動っと。


「あっ。もうソフトとギフトカードきてる。はっや。」


ギフトカード何に使お。EDWに使えるならEDWに課金しよっかな。


ピコン

『紅羽様宛の宅配便が宅配ボックスに届きました。』


うち、なんか頼んだっけ?記憶にないけどなんか頼んだんかな....とりあえず取って来よう...宅配ボックスは家族全員分ある。家族であっても勝手に取り込んでは行けない。それが我が家のルールだ。あ。あと、よく小説とかで高校生一人暮らしとかあるけど、普通に実家暮らしです。多分大学生になっても実家暮らしです。


「光さんから宅配便?うわぁ。めっちゃ重いじゃん」


お米10kgぐらい重いんですけど.....光さん何おくってくれたんだろ.....とりあえず部屋戻って開けてみよう。


「いざ!開封の儀!」

「「いえぇぇぇぇい!」」

「え?なんでいるん...お兄」

「取りに行くって言ったじゃん」

「早くない?」

「光ちゃんから、荷物もうすぐ届くよって連絡来たから、新幹線乗って帰って来た」

「それにしてもはやいよ。」


この目の前にいる成人男性ショタは四年前に上京した、うちのライバルことお兄である。


「てか、乙女の部屋に勝手に入るな!」

「僕の部屋には勝手に入るのに?」

「それ、何年前の話だよ......」

「5年前かなぁ」

「うち、小学生じゃんか!」

「で、開けないの?光ちゃんからの荷物。」

「あっ。忘れてた。」

「カッター取ってくるから待ってて。」


そういってお兄は自分のへやにカッターを取りに行った。

かってにお兄のスペック話しとくか。

夜桜霧夜よざくらきりや。大学4年生。身長155cmのふわふわ髪の美少年である。大学4年生の今でも中学生に間違われる。ちなみにうちは小学生に間違えられる。解せぬ......ママもパパも身長低いから仕方ないね....


「とってきたよー。」

「おかえり。開けよー。」

「はい。カッター」

「いざ!開封の儀!」

「「いえぇぇぇぇい!」」

「これ、何回目?お兄...」

「大丈夫。まだ二回目」

「ならいっか。今日何日?」

「9月22日だよ。EDWは明日の9時からリリース開始。」

「こっちにいつまでいるの?」

「1週間くらいはいるかなー。」

「ふーん。わぁ!!すげー!VR機器だ!!」

「そりゃ、光ちゃん送ってくれたからね」

「みてみて!真っ白!」

「紅羽どっち使う?」

「どっちでもいい!何か違うの?」

「こっちの方が機種的には良い奴らしいよ。紅羽こっちつかいな。」

「いいの?お兄?」

「お兄ちゃん舐めんなw紅羽がいなかったらこの話なかったからね。紅羽良い奴つかいなよ。」

「お兄がやさしい。明日矢が降る???」


軽口を叩きながらVR機器の説明書を読む。

これは頭に着けるタイプらしい。真っ白でツヤツヤしてる。ゲームしている間、体は睡眠状態らしい。脳は休まらないから睡眠はしっかり取るように書いてあった。


「EDWばっかやりすぎないでちゃんと寝なよ?紅羽は睡眠時間短いんだからその分しっかり寝なさい。」

「はーい。お兄こそ寝てるフリしてやるのやめてよ?」

「もちろん。チュートリアル終わったら一旦終わって早い方がフレコ、チャットに送るでいい?」


このVR機器はいつもゲームを買ってるサイトのアカウントやいつも使ってるチャットアプリと連携できる。ゲーム中でも通知が来る設定に出来るらしい。めちゃくちゃ便利じゃん!


「OK!そうしよ!」

「プレイヤー名どうする?僕はそのままキリヤかな。カタカナで」

「うちもクレハで行くよー。もちろんカタカナで。」

「僕達の名前あまりいないもんね。」

「ねー。そのままでも十分ゲーム名で通じる」


ガチャ


「くれはー!ごはんよー!霧夜もおかえり。ご飯よ。降りてきなさい。」

「ただいま。母さん。すぐ降りてくよ」

「お兄、ご飯の後話そっか」

「そうだね。」


久しぶりの家族揃ってのご飯だ。色んな話をしながら食べた。ママも今日は残業せずに帰ってきたらしい。


「紅羽も霧夜も今話題のEDWだっけ?やるのか?」

「やるよー!だからうちは明日お昼いらないー。パパもやる?」

「僕もお昼パスで。」

「俺はもう年だからゲームとかは無理だろ...」

「紅羽も霧夜もお昼要らないなら久しぶりに母さんと外食行くか」

「いいよ。行ってらー。楽しんでね」

「僕達EDWしてるから大丈夫!」

「あんた達、休憩挟みつつやるんだよ」

「「はーい。ママ(母さん)」」


こんなことを話してる間に寝る時間になってしまった。明日は早起きしないといけない。今日は早く寝よう。


「お兄、明日起こして。8時に」

「えっ。無理。紅羽が起こして。」

「え?」

「え?」

「「え?」」

「まぁ。いいや。うちは文明の機器、スマホ様に起こしてもらう!」

「がんばれー(棒)」

「寝過ごしてもお兄のこと起こさないから!」

「それは話が違うじゃん!!」

「じゃあおやすみー」

「おい。ちょっと。まっ」


バタン


お兄の声を遮るようにドアを閉めてうちは眠りについた。

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