第4話

「正旭くん、元気出して」

キャンパスで恋人の三上夏音(かのん)が

正旭に声を掛けた。

「ああ、ありがとう」

正旭は適当に答えた。

「いま、わたしが中心になって開発している

記憶復活サイトもうすぐ完成しそうなの」

「そんなものなんになるんだい?」

「あら、痴ほう症の御老人がたくさんいるのよ」

「その人たちで大儲けしようって腹かい」

「口がわるいわね、あいかわらず」

夏音がむくれてソッポを向いた。

「いま、正旭くんなにしてるの?」

「名前を適当に打ち込んでる。厖大な数だ」

「なんのために?」

「さあな」

正旭がニッコリと微笑んだ。

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