第40話
3-14
●帝都とロボ_1
ウラスを地上の帝国軍基地に下した俺達は、タクシー的な乗り物を捕まえて宝石商のサイモンさんのお店でスフェーン宝石店に向かって貰った。
アマンダ達3人は途中まで一緒に付いてきたが、ショッピングモールに行くと途中で降りて行った。
トァカミさんは本を読んでいて一人ウラスに居残りである。
タクシー的な乗り物がスフェーン宝石店の前で止まると、予め連絡しておいたからか店の前にサイモンさんが出てきてくれた。
『本日はお越しいただき有難う御座います。』
サイモンさんは恭しく頭を下げ出迎えてくれた。そして、店のドアを開いて中に招き込んでくれた。
なんだか、こう丁寧に扱われるとムズ痒いし恐縮してしまう。俺ってやっぱり庶民なんだよなぁ。
アニエルなんか、軽く会釈はするものの堂々と店に入ってるもんな。
俺達は会議室のような感じの部屋に通されたんだが、置いてある調度品が凄い豪華なんですが・・。
楕円のテープの周りに置いてある椅子も背もたれの枠や足の部分に彫刻が施され、座面や背もたれのクッションにカバーは焦げ茶に金糸で刺繍がしてある。
しかも、椅子に座ろうとしたら後から室内に入って来たメイドさん達が椅子を引いてくれた。
部屋の壁紙もシックな模様と色合いで、その壁に絵が掛けられている。
皆が椅子に座ると、今度は別のメイドさん達がお茶を入れて配膳してくれた。
と言うか、このお店何人メイドさんが居るの・・。
そして、モックの入った箱を執事さん風の人が持って入って来た。
俺のイメージで執事さんにはまだ若い感じなんで執事さん風と言ってるけど、本当は執事さんで合ってるかもしれない。
執事さん風の人はサイモンさんにモックが並べられた箱を手渡し自身はサイモンさんの後ろに控えている。
まずはアニエルのからの確認するらしく、執事さんが壁に埋め込まれたタッチパネルを操作するとアニエルの前に仮想的なモニターが表示された。
モニターに映るモックは何で出来ているのか分からないが、銀色の金属ポイ感じの物で出来ていて、ただ光の方が銀ではない鈍い光かたなんだよな。
メッキだろうか?いやいやモックにメッキするんだったら、銀をそのまま使った方が安上がりな気がする。
モックは宝石自体はまだ取り付けられておらず、モックの脇に置いてある。
ネックレスにイヤリングと指輪、カットされ磨かれたサファイヤはさすが宝石でキラキラしていてとてもきれいだ。
ただ、俺採取した場所も知ってるから、何とも感情にギャップがあって素直に褒められない。
アニエルのペンダントの宝石は逆キャッツアイみたいになっていて、周りがピンクで青い筋が入っている。
大きさはかなり大きく指2本分の幅で縦は指先から第二関節位の楕円型になる。
指輪用の宝石は一回り小さいがそれでも大きい。こちらもキャッツアイなのだが周りが青で筋の部分がピンクになっている。
イヤリングはピンク1色で留め金の周りに青のサファイヤが配置されるようだ。大きさは薬指位の太さで長さが2.5cm位の涙型だ。
しかし、あんなの耳に付けて耳が痛くならないのだろうか。
クラーサのペンダントは同じように楕円形だが、緑色1色のサファイヤで青と黄色い棒状のサファイヤが放射状に周りを取り囲んでいる。
大きさ的にはアニエルのペンダントと同じ位の大きさだ。
指輪もペンダントと同じデザインで大きさもアニエルのと同じ位の大きさだ。
イヤリングは緑の涙型のサファイヤの留め金の周りに棒状の黄色い小さな飾りが付いている。
佐井田さんは長四角の板状の銀のプレートの脇に棒状青いサファイヤが縦に配置されその中に右左ずらして順に紫、オレンジ、緑、黄色のサファイヤが配置されている。それぞれのサファイヤはカットされており、ちょうどいい間隔で配置されている。この辺のセンスが俺にはない物なんだろうな。
アニエル達と比べると宝石もそれほど大きくなく豪華と言う感じではないのだけど、美しいと言えるデザインである。
指輪は紫のカットされたサファイヤの上下にそれより小さなオレンジのサファイヤが付いていて全体でみるとひし形ポイ感じだ。
イヤリングはアニエルやクラーザと違いオレンジのカットされた涙型のサファイヤに留め具の周りをカットされた粒上の紫のサファイヤが付いている。
カムミムさんは純粋にカットされた青いサファイヤで丸い形のペンダントにしたようだ。
指輪も青いカットされた18角形位の大き目のサファイヤだけどデザイン的には一般的な物だ。
イヤリングもシンプルに青い涙型の物になっている。
あとは子供達2人だが、お花の形をしたペンダントだった。
2人は色違いのお花で、ミナちゃんが黄色の花弁に中央に丸い緑の雄しべ?の部分が緑、あみちゃんはピンクの花弁に雄しべの部分が青になっている。
これ宝石自体も細かいけど、そのフレームを作るのがめちゃくちゃ大変そうだ。
それと今はペンダントになっているけど、将来的に指を入れるリングが付けられるようにギミックを施してある。
最後に俺の発注した婚約指輪だけど、色違いのサファイヤを使ってはいるけどデザインは3つとも同じだ。
前にの言ったかもしれないけど、ラグビーボールのような楕円でその上下に蔦をクロスさせて青いサファイヤに絡んでいるようにし、その蔦には鞘が付いており、
その豆の部分にアニエルのはピンク、クラーザのは緑、佐井田さんのはオレンジのサファイヤになっている。
そんな感じでサイモンさんとのモックの確認が終わり、お店を出てアマンダ達と合流するためにショッピングモールに向かっているんだけど、そんなに遠い訳でもないので、途中にあるお店を冷やかしながら歩いて向かっている。
皆でしゃべりながら歩いていると、小さな公園が目に入った。
その公園には子供達が遊べるような遊具が置いてあり、端の方にベンチも置いてあった。
そのベンチで何故か女の子が一人で泣いている。
俺はどうしたんだろうと近寄り女の子に声を掛けた。
『君、一人でどうしたんだい。お父さんやお母さんは何処だい。』
ただ、よく見ると女の子は大人びた衣装を着ている。
女の子は俺をちらりと見ただけで、また泣き出してしまった。
いや、困った。不審者と間違われたのだろうか。
俺は困って皆の方を見たら、ミナちゃんとあみちゃんがブランコに乗って遊んでいる。
これは軍の交番に連絡した方が良いだろうか。
あ。俺も軍人だった。
俺はポケットから軍の身分証を引っ張りだし、今度は身分証を見せながら、どうしたのか再度聞いたんだが、軍の身分証を見た女の子は声を上げて余計に泣き出してしまった。
これは俺の手におえない。助けを求めてアニエルとクラーサを呼んで話をしてもらうように頼んだ。
アニエルが話しかけようとした瞬間、一緒に来ていたクラーザが声を上げた。
『あれ?あなたサミリーじゃない?』
ん。クラーサの知り合い?
『・・・グラーザお、じょう、ざま。』
『やっぱり、サミリーじゃない。どうしたのこんな所で泣いていて、なにかあったの。』
『あ゛だじ、あだじ、どうじたらいいかわがらなぐて。』
女の子はクラーサを見止めると泣きながらクラーサに抱き着いて来た。
話を聞いてみると、この女の子はクラーサの高等部の時の友達でサミリーと言うらしい。
ドワーフ族の女性で成人しているらしい。子供じゃなかったのね・・。
先日まで帝都のベンチャー企業で働いていたそうだが解雇されてしまい、社員寮からも追い出されて行くところもないそうだ。
新たな就職先も探して何件も面接を受けたのだが、どこにも雇ってもらえず、ホテルの滞在費も尽きてしまい、昨日からここにいるそうだ。
クラーサがめっちゃ俺を見て来るんだが。
いやいやいや、可哀そうだとは思うよ。実家に送り届ける位は問題ないよ・・。
それにこの子をウラスの乗員には出来ないよ。部屋も3人部屋が1つ開いてるって言えば開いてるんだけど緊急でどうしても人を乗せることになったらどうにもならなくなる。
いや、しかし、サミリーさんの実家に送って行くにしても、クラーサの実家の惑星セナミノフには今は行きたくない。
行ったらクラーザ自身がどうなるか分からないからな。最悪発狂する可能性だってある。
可哀そうだが、お金を貸すので実家に帰れと言う位しか出来ないか・・。
まぁ、一様先に実家の事を聞いておくか。
『サミリーさん。実家のご両親には連絡されたんですか?』
俺は声を掛けたんだが、サミリーさんは俺をまだ居たのか的な目線で見て来る。
しれに気が付いたクラーサが困った顔をしながら、俺をサミリーさんに紹介してくれた。
『あぁ。彼はユースケさん。私の婚約者なの。』
それを聞いたサミリーさんは驚愕の顔をして呟いた。
『・・・。クラーサお嬢様が結婚・・。あのお嬢様が・・。お料理実習の時、ムグッ!』
クラーサが慌ててサミリーさんの口を手で塞いでいるけどなんだ?実習で何かやらかしたのか?
あれ、そういえばクラーサが料理してるとこ見た事ないな。
『サミリー。それは言ったらダメ。絶対ダメ。』
顔が怖いよクラーサ。サミリーさんも口をふさがれたままコクコク頷いているし・・。
『それで、ご両親に連絡はされたんですか。』
今度は、一瞬俺の顔を見たけど気まずそうに目線を外し、口を開いた。
『・・実は帝都の会社に入社するのに、両親の反対を押し切ったと言うか・・。家出同然に飛び出してしまいまして、今更実家に頼れないです・・。』
『ユースケさん。何とかしてあげられませんか。』
クラーサもサミリーさんの事を心配はしているようだ。
『んー。ところでサミリーさんは会社で何をされていた方なんですか?』
『はい。パワーアーマーの研究と設計をしておりました。』
『採用。労働条件なんかは今説明できないので後で確認してください。』
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