第39話
3-13
●お絵描きと絵心
俺達はアクセサリーのモックを確認するため、惑星スサノアを出て帝都のある惑星クランドルへ向かっている。
しかし、女性陣のテンションが高い。皆ワクワクしていて会話の大半がアクセサリーの事になってる。
やっぱり、女性はアクセサリーとか服とか美容とかになると何時もとテンションが違うよな。
俺はちっとも会話に付いて行けない。唯一の男性トァカミさんは我関せずで何時もの如く難しい本を読んでるし。
少しは服とかアクセサリーの事を勉強した方が良いのだろうか。
でもなぁ。俺根本的に美的感覚って物がないからなぁ。それに中途半端な知識で話していてもボロが出るのが目に見えている。
やっぱり、俺もトァカミさんを見習って女性陣は放っておいて大人しくプログラミングをしてた方が良いような気がしてきた。
それじゃ、プログラミングの続きを・・。いやアバター作らなきゃ。
俺はアバターを作り始めたけど、絵が下手すぎるしセンスがなさすぎる・・。
ここでも美的センスが問われるのか。くっ。殺せ・・。
仕方ない。後で女性陣に頼むとするか。
いや、待てよ。報酬を決めとかないと何を要求されるか分からないからな。
どうしよう。アバターのキャラクター1つに付き1万Gかなんかでやってくれないだろうか。
まぁ。キャラクター1つと言っても普通の顔、嫌な顔、笑い顔、にやけ顔、怒り顔、泣き顔と、この位は必要になるよな。
6つの表情で1万Gは安いかな?
とりあえず、頼んでみるか。
『皆、突然で悪いがカードゲームで使うアバターのキャラクターの絵を書いて貰いたいんだけど、1キャラクター6表情で1万Gでお願いできないだろうか。』
その話を聞いたアマンダ達3人組はもう目を輝かせて『やる!』と宣言している。
『ただ、採用されたらだからな。6つの表情は普通のすまし顔、嫌な顔、笑い顔、にやけ顔、怒り顔、泣き顔になる。ゲームの対象者は情報端末を持っている人になるんでその点も考慮してくれると嬉しい。対象者は男女、若者、年配の方と様々なんで。あと、ゲームのキャラクターなんで可愛く書いてね。』
そこでロッテが質問して来た。
『複数のキャラクターが採用されたら、その数だけ1万G貰えるって事ですか?』
『そうだね。例えば5つキャラクターが採用されたら5万G差し上げます。ただ、今のところ15個のキャラクターを使いたいので、最大は15万Gだけどね。そうそう、キャラクターは写実的な絵でなくデフォルメされた絵でお願いします。』
出来たら俺の情報端末に送ってもらって、惑星クランドに着いた日に採用するキャラクターを発表することにした。
次の日の午後位から、何個か絵が送られて来たんだけど、やっぱり佐井田さんとアニエルは絵がうまい。
ただ、アニエルはデフォルメの意味を分かっているのだろうか・・。妙に写実的なんだよ。
まぁ。これはこれで少し加工すれば面白いかもしれない。
意外だったのが、ロッテでなかなか可愛い絵を送って来た。
物作りが好きと言うだけあって器用なもんだ。
て言うか、アマンダの絵は何だろうこれ埴輪?カオ○シ?スライム?しかも表情が皆同じなんだけど・・。
クラーザとミリアの絵は、まぁ、可もなく不可もなく。
カムミムさんはまだ送ってきていない。
う~ん。こんな感じのアバターばっかりだと年配の男性は使うの抵抗があるかもしれないな。
やっぱり、俺も何か描かないとダメなのだろうか・・。
俺の絵、アマンダと同じレベルなんだけどな。
そして、2日過ぎ明日惑星クランドに到着する。
皆には何枚を絵を送ってもらったんだけど、俺だけで決めてしまうと不公平みたいになっちゃうから皆に投票してもらう事にした。
俺の情報端末に共有領域を作成して、各人の名前のフォルダーにそれぞれの絵を保存したので、後は自分以外の絵で良かった物の5点のをメールで送ってもらってそれを集計すればいいか。
俺は早速、作成さいた共有フォルダーのアドレスと投票の説明をメールで送った。
次の日、俺達は惑星クランドのコロニー型宇宙港に到着したが、地上に降りる申請を出して、今日はこのままここにいるつもりだ。
俺は皆から来たメールを開いて、投票結果を集計したが、やっぱり、一番は佐井田さん、続いてアニエル、次がロッテだった。
佐井田さんは5個のキャラクターを書いてくれて、全てが高得点だ。
佐井田さんのキャラクターは全部が動物で犬、猫、兎、鳥、金魚と言うか出目金でどれも可愛くコミカルな感じの絵になっている。
アニエルは3個ですべてヒューマンで少女、成人女性、成人男性でどれも微妙に写実的でこのままではゲームに使うのはどうなのかなと思うが絵はうまい。
ロッテは4個送ってくれたが、票が入ったのは2個で1つはひまわりのような花に顔のパーツを付けて擬人化したものと、工具のスパナを擬人化した物に票が入った。
後のバッタとミミズには票が入らなかった。俺的にはかわいく書けていて良さげだったんだが、女性には受けが悪かったようだ。
クラーサとミリアも送ってはくれたが、成人女性と兎?で被っていて票がそれぞて1票づつとなっている。
この二人はそこまで絵が下手ではないから、選択したキャラクターの題材の問題だと思う。
アマンダは埴輪もどきとウツボカズラもどきクラゲもどき、すべてもどきで本当にこれで合っているかは分からない。
言わずもがな、アマンダの絵には何れも票が入っていない。
カムミムさんは棄権。書いてみようとは思ったけどうまく書けなかったらしい。
俺?書いたよ。
ロボとおじいさん。
このままだと男性が使えるキャラが少ないんで書いてみたんだけど、どう見ても人型のガラクタとアンデットにしか見えない・・。
当然、俺の絵にも票は入っていない。
仕方がないので、後で誰かにお願いして書いて貰おう。
クラーサとミリアが可愛そうに思えたので、クラーサにおじいさん、ミリアにロボットをお願いして書いて貰う事にした。
本当はミリアには埴輪の絵をお願いしようとしたんだけど、そこで衝撃の事実が分かった。
この世界には土器の文化が無いようだ。従って埴輪が存在しない。
大昔に遡っても、木や石や鉄で出来たお皿と、石か鉄の鍋を使っていたそうだ。
変だな、鉄って言うか金属って土の焼き物を作る時にたまたま溶けて流れ出て来た金属を見て作られるようになったと記憶してるんだが。
どう言う事だろう。こちらの世界では違うのか?なぞだ。
まぁ。良いか。埴輪は佐井田さんにお願いしたら書いてくれるかな?
でも、ゲームの利用者が埴輪が何か分からないんだよな。どうしよう・・。
結局、俺は佐井田さんにお願いして埴輪の絵を書いて貰った。
賞金に関しては、佐井田さんに6万G、アニエルに3万G、ロッテに2万G、クラーサとミリアに1万G、アマンダに5千G渡した。
アマンダのは、アイデア領として5千G渡した感じだ。
そして13個の絵が完成して、俺はゲームに取り込んだ。
まぁ、おじいさんとロボットと埴輪は後で完成してからなんだが・・。
今まではテストで俺が書いた棒人間に数字を書いた物を使ってたんだが、やっぱりちゃんとした絵を入れると見栄えが違うな。
カードゲームで出来たのはババ抜きと大富豪だけだけど、おいおいゲームの種類を増やして来たい。
ポーカーとかも作ろうかと思ったんだが、こちらの世界のルールを知らないので、そこから覚えて行かないといけない。
ババ抜きと大富豪は俺の知ってるルールで作っちゃったから、こっちの人が知ってるかどうかわからないしね。
それと、今は書いて貰ったすまし顔しか使ってなくて、表情の読み取りプログラムも組み込んでないからずっとこの絵だけしか表示されない。
誰か表情の読み取りプログラムくれないかな。
まぁ。地道に作っていくか。
その後、俺達はウラスを地上に下し、アクセサリーの施策の確認をしに宝石商に向かった。
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