第32話
3-6
●商隊護衛とラプター146-9c_1
先日、護衛機能付きのメイド型生体アンドロイドがロールアウトして来た。
名前をどうしようか考えたんだがエツコにした。
単純だが英語の発音でエスコート(護衛)って言うとエツコって聞こえなくもないから・・。
分かってる。センスがないのは・・。何も言うな・・。佐井田さんの目が冷たい・・。
結局、量子通信機器は耳の部分に外だしで着けるようにした。
生体アンドロイドなのにそこだけ金属色のカバーで出窓のように出っ張っているが違和感がある程ではない、エルフ耳もアンテナのように出てるし。
まぁ。機能的にはアンテナではないんだが・・。
それで、冷却効率少しでも上げてくれって頼んだら、胸がデカくなって出来上がってきた。
凹凸が大きいと表面積が広がって冷却効率が良いんだって・・。
なんか、ボンキュッボンのふじこ?
俺はデカくしてって頼んでないからな・・。佐井田さんの目が冷たい・・。
俺がメイド服を着たエツコの張り出した胸を口を開けてみてたら、エツコが胸を手で持ち上げて『中もみますか?』だって、見ないからな。
いや。ごめん。女性陣には内緒だがロールアウト前にフルヌードで見てます。
横になって寝ている状態を見た時は多少大きいな位だったんだけど、立った状態で見ると思いのほかデカかった。下着のせいか?
だから、アニエル少佐は無言で脇腹を抓るのやめてよ。
エツコの外部処理装置だけど惑星エイメーヤの拠点の屋敷にとりあえず設置した。
中身は民間の航宙艇用の処理装置だけを部品として購入してI/Oとして量子通信機を付けた感じた。
中身のソフトはエツコを作った生体アンドロイドの製造会社に委託して作ってもらった。
護衛用の体術データはこれから俺が覚えさせていくつもりだ。
情報端末用の通信に関しては、中継器が市販されていたのでそれを購入して、量子通信機と市販の光ケーブルで接続して終わりだった。
通常は2台の中継器同士を光ケーブルで繋ぐようだが、その途中に量子通信機を入れた形だ。
転送装置は惑星クドラの研究施設と惑星エイメーヤの拠点で実験を繰り返し、安全性を確認した後、ウラスの格納庫の一部を改造して安全に荷物のやり取りが出来るようになった。
今回はトァカミさんが目指している片方だけの量子転送装置ではなく、双方に量子転送装置を置いて相互通信の上、荷物のをやり取りを行う方式にした。
双方とも量子スキャンだけでなく、各種センサーによって人や生物が転送空間に入り込んでないか安全確認の上で転送されるようになっている。
調整に難攻していた実態弾の転送だが、制限付きで使用出来るようになった。
ウラスに搭載されている電磁式20mm実態弾連射砲って初速が約1200m/sなんだけど、転送装置の転送には0.01秒かかる。
そうすると0.01秒の間に実態弾の弾丸が約33.33cm進んじゃんだよ。
だから転送装置の分解空間が最低でも弾丸の進行方向に34cm位は必要になる。
しかも、弾丸を発射する機体が動いているので、弾丸を発射した時点の機体の速度に合わせて、この分解空間を移動させないといけない。
なので発射中は機体の加速は出来ない。加速すると最悪砲身を持って行かれてしまう。同じ速度で移動するか、もしくは減速はOKだ。
まぁ。実態弾を転送システム使って撃ったとして、各弾丸毎に0.02秒後には分解空間は無くなっているんだけどね。
だから戦闘機動中には使用できない可能性が高いが、これはあくまで相手が遮蔽物の裏側に居る時の最終手段と考えれば悪くはないと思う。
そして、この武器の弱点だが、まず、弾丸の再現空間が分解空間と同じ進行方向に34cm位必要になる。しかもその途中に遮蔽物があると再現中の弾丸の構成物の速度が落ちてしまい実態弾が正しく生成されない。
悪い所ばかり上げてきたが、良いところもある。
強力なシールドを張った敵艦が居た場合でも、シールドと艦の間って3・4m位離れてるからシールドの中に実態弾を送り込めたりする。
まぁ。通常はレーザー砲でシールドを飽和させるのが一般的だけどね。
しかも、装甲まで厚い艦だとまったく効果がない。だから戦艦級とか巡洋艦級だと窓ガラス部分に当てれば多少効くかもしれないけど、他に当たっても傷が出来る位でほとんど効かないんじゃないかな。でも34cm以上の遮蔽物のない空間があれば艦内に直接送りこめたりする。
あと、海賊達の船はほぼ民間船の改造船なのでシールド内から打ち込めば余裕で撃破出来る位の性能はある。
艦内の部屋に関しては、提督経由で軍の技官に相談し、希望通りの部屋にユニットを入れ替えてもらった。
ただ、壁紙等のインテリア的な物や幼児の安全対策などは軍ではやって貰えなかったが、自腹でだったらメーカーに発注して改造して良いとの事で、ウラスの製造元メーカーに相談して改造してもらった。・・特注品が多かったから結構なお金がかかったよ。
地球探索の準備もほぼ整ったので、来週位には探索に出かけたいが、ただそのまま探索に行くのも勿体ないので、傭兵組合で仕事を受けて行きたいと思い依頼を探しているがなかなか良い依頼がない。
俺達は、地球探索の最初の一歩として、まずラプター146-9cを探索しようと考えている。
ラプター146-9cは帝国図版内の辺境星系ゴルタナから42万光年と直線距離では比較的近い星系の惑星になる。
但し、途中に彗星ストーミーベルトと言う、岩石が激流のように流れている場所を通過しなければならない。
この激流を回避するには、彗星ストーミーベルトの端まで行き、大きく迂回すれば行けるそうだが、岩石同士が衝突してはじき出され突発的に彗星として向かってくることが多く、ワープ航法では衝突の危険が大きいそうだ。
ここがワープ航法の弱点で、ワープ航法は空間を歪めているだけで途中の障害物を除去出来る訳でも別空間を航行するわけでもない。
本当に小さな30cm位の物ならシールドで消し飛ばすことは出来るらしいが、それ以上の物は無理らしい。
それ故、ワープ航法を利用する時には、航路計算での予測が可能は場所でなければならない。
もっと大回りをすれば行けない事は無いのだが、通常航行でこのストーミーベルトの端を行くのと時間がほぼ変わらなくなってしまうので意味がない。
しかし、このストーミーベルトの岩石たちどこに向かってるんだろう。
物凄く遠方にある超重力体の周りをまわる小惑星群だったり、ブラックホール的な物に飲み込まれ続けていてどっかのホワイトホール的な物から吐き出せれているとか。www。
次の週、やっと依頼が見つかった。
サトア第一星系の惑星サトアから、辺境のゴルタナ星系の惑星ゴルタナまで商隊の護衛の依頼だ。
サトア第一星系からゴルタナ星系までは、まずはダービット星系へ行き、次にコルネール星系、サルバル星系、ロッシュ星系の次がゴルタナ星系となる。
なので行くだけで1か月弱かかる。しかも、最近ロッシュ星系とゴルタナ星系の間の航路の脇にある小惑星帯にたびたび海賊が出るようになったとの事。
10日後に出発なので明日惑星クドラを立てばサトア第一星系には余裕で着く。
翌日、俺達はクドラ子爵に挨拶をして惑星クドラを出立した。
道中は何事もなく。まぁ。このルートは頻繁に船が行き来しているし、軍の船も頻繁に見回りがある事から、海賊もほとんどやってこない。
と言いつつ、前回このルートで海賊に襲撃されたんだが・・。
今回はそんな海賊の襲撃もなく、サトア第一星系の惑星サトアに到着した。
今回の護衛対象は海賊対策でキャラバンを組んで移動するらしく、商隊の民間輸送船で大型船1隻、中型船3隻、小型船2隻、後は商人達の乗った中型船1隻、それに、傭兵組合のクルーザー級戦闘艦が3隻、俺達の駆逐艦級戦闘艦が1隻。
このクルーザー級だが、戦闘艇より二回りほど大きく定員は4・5名の戦闘艦で戦闘艇と違い個室ではないが就寝可能な部屋が付いている。
それと大きくはないが格納庫も存在するので多少の荷物の運搬も可能だ。
サトア第一星系の惑星サトアのコロニー型宇宙港で商隊と傭兵と合流し、挨拶をし軽く打ち合わせを行った。
商隊のリーダーはビブナ商会という結構大きな会社の営業でミリバンと言う方だった。
傭兵の方は今回まとめ役として、Bランクのジャック。メンバーとしてDランクのテッド。Dランクのアマンダ。Fランクの俺。
ミリバンさんが『今回は商隊の護衛宜しくお願いします。』挨拶をすると、ジャックさんが『よろしく。』と言って握手をしている。
俺達は、ジャックとミリバンさんが工程のすり合わせを後ろで聞いているんだけど、アマンダさんが気になってしょうがない。
アマンダさんって女性なんだけど、なんでホットパンツにビキニトップ姿なの。傭兵の女性って皆こんな感じなのだろうか。
テッドさんはテッドさんで茶髪でツーブロック、なんか軽そうだ。挨拶したら二本指立てて『チース!』とか言われそう。
とりあえず、ジャックさんから傭兵側のフォーメーションを指示され、俺は殿、商隊の後を付いて行けば良いようだ。
ジャックさんは先頭で商隊の左右にテッドさんとアマンダさんが付く感じた。
あ、それと傭兵は戦闘艦に一人で乗っている訳ではない。
ジャックさんの所とアマンダさんの所は後2人乗員が居る。テッドさんの所は3人いるとの事だ。
大体の打ち合わせが終わったところで、ミリバンさんが『それでは出発しましょうか。』切り出し、それぞれの艦に戻って行った。
俺もウラスに戻って来たんだけど、なんでアニエル少佐は脇腹抓るの。
エツコも首を傾げて不思議そうにしながら真似して抓らないの。
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