第31話
3-5
●転送システムにと補給路確保
俺達は授業を終えトァカミさんと話しながら教室を出て来ると、教室を出てすぐの廊下にカジテ助教授が俺達が出て来るのを待っていた。
カジテ助教授は俺の顔を見ると真っ先に『すまなかった。』と謝ってくれた。
今日は俺達が授業を受けに来る事とメイド型生体アンドロイドの製作の件を学長から聞いて、授業が終わる時間を見計らって待っていたそうだ。
『護衛が出来る生体アンドロイドの作成を依頼したいと学長から聞いたんだが本気なのか。』
『はい。ダメでしょうか。』
『いや。まぁあれを開発した奴は知ってるんで、出来ない事は無いと思うが、ただなぁ、あれは応用がきかないぞ。まだ確認して見ないと分からんが、処理装置からして、接客対応と自動調理器を使った料理、パターン化した掃除、全自動洗濯機を使った洗濯を覚えさせたら、他の事は覚えられないと思うぞ。』
『あれ?ジーコ男爵の所にいた生体アンドロイドのメイドさん達って色々していたような気がするんですが?』
『それって、1台でやってたか?複数台で分担して仕事させてる事はざらにあるぞ。』
『あ、なるほど。』
『大体、あの生体アンドロイドってやつは、俺がこの大学の学生だったころの同期の奴が卒業後に開発したもので最初は使用目的が違ったからな。まぁ。その同期の奴も時たま話をするくらいで、そんなに親しい仲ではなかったんだが。貴族の親に金を出してもらってあれを開発して会社を起こして販売始めたんだが、最初はほとんど売れなかったようでな。会社が立ちいかなくなる寸前に、親の友人がメイド仕事を覚えさせた物を何台も購入してくれて、会社を潰さなくて済んだようだし。今ではメイド用生体アンドロイドとして結構売れてるらしいぞ。』
『そうなんですね。』
『ただな。』と言ってカジテ助教授は手を招いて近くに寄るようにとジェスチャーで言ってきたので俺が顔を近づけると手で隠しながら耳元に口を寄せた。
『あれは元々男性用の性処理人形として開発されたんだよ。昔はドールと呼ばれていて、何件かあれを使ったいかがわしい店があった時もある。今も在るかは知らんが。』
カジテ助教授は俺から口元を放し『なので、あれ自体の処理能力が高くなくても問題なかったんだが、それとヒューマンの骨格の頭の中に高性能な処理装置と大容量のメモリーを搭載するには無理があるんだよ。』
『そうかぁ。』
『今の生体アンドロイドだって量子MPUチップが2つと10TB(テラ バイト)位のメモリーは積んであるだろうが。んー。護衛機能も付けるとなると。量子MPUチップは4つ以上、メモリーは4倍は必要だと思うぞ。そうなるとこんな頭になるぞ。』
カジテ助教授はポケットからメモ帳とペンを取り出して絵をかいてくれたんだが、バルーンマン?雑に書いたドラ○もん?てな感じだ。
これはダメだ。これにリアルな人の顔が付くんだよね。こんなの子供達が見たら恐怖で泣く。
いや。困ったな。これは実現出来ないと見た方が良いのか・・・。
あれ?ジーコ男爵の所のロボはそんなに頭大きくなかったよな?
『ジーコ男爵の所に農作業をしていたロボットも居たんですが、あれは頭もそんなに大きくなかったですが、一台で色々な仕事こなしてましたね。』
『農作業?ロボットが?兵士用のロボットなら知っているが・・。私が知っている兵士用のロボットは処理装置自体は生体アンドロイドと変わらないが、生体アンドロイドと違って、言語の発声機能、疑似的な感情の計算、表情筋の計算やヒューマン特有の体の揺らぎ計算等々ヒューマンに似せた動きの計算の必要がないし、戦闘環境の変化にはその拠点の司令部から暗号化通信によって動作パターン情報を送り込んで変更していたからな。』
なんと。あれ、兵士用のロボットだったの?ジーコ男爵の所で改造したんだろうか?それとも特注?しかし、あれが兵士用ロボットだったら、最強の屯田兵だな。飯食わないし、戦闘訓練も必要ない。平時は畑耕して食料生産、すごい・・。
ん?・・司令部から暗号化通信?通信?
『トァカミさん。量子通信のタイムラグってほとんど0(ゼロ)に近いですよね。』
少し離れて俺を待っていたトァカミさんに急に話を振ったので少し驚いているようだった。
『んん。あ。あぁ。そうだね。ほとんどタイムラグは出ない。』
『量子通信の機器ってどの位のまで小さくなりますかね。』
『ちょっとまて、何の話だ。』
トァカミさんは訳が分からないと言うような顔で聞き返してきた。
俺はカジテ助教授からさっきのメモ帳をを借りてトァカミさんに今までの話を説明した。
男性用の××人形の話はしてないぞ、アニエル少佐もいるし・・。
『それでですね。内部に入らないのなら、外部に置けないかと思ってトァカミさんに聞いたんですよ。』
『なるほどな。ただ現状だと小さくしても拳位になってしまうと思うぞ。』
『ん-。形状を変えて頭蓋に沿って作る事って出来るでしょうか。』
そこで、カジテ助教授が待ったをかけた。
『まてまて、頭蓋に沿わせて作ると、今度は放熱の問題が出て来るぞ。』
『なるほど。すいません。ここで話していても解決しないような気がするので、一旦持ち帰りましょう。カジテ助教授、見積もり頂きたいので、変更なさそうな部分の価格を確認して置いて下さい。あと、連絡するのに情報端末の番号も教えてください。』
カジテ助教授は持っていたメモ帳に情報端末の番号を書いて渡してくれた。
俺達は大学を出て、タクシー的な乗り物に乗ってホテルに戻った。
一旦、自分の部屋に戻った俺だったが、荷物を置きトァカミさんの部屋を訪ねドアをノックした。
『トァカミさん。ユースケです。今良いですか?』
『いま、開ける。少し待ってくれ。』
少し待つと、カシャっと鍵が開く音がしてドアが開いた。
『どうしたんだ。さっきのアンドロイドの話か。』
俺はトァカミさんの部屋に入りながら『それもあるんですが・・。』と別の事案の相談である事を前振りした。
部屋に入るとベットにトァカミさんが座り、俺は椅子に座った。
『今日、授業を受けてかなり遠くにある惑星に行かなくてはならない事が分かったんですが、そうすると物資をどうしようかと思いまして、まぁ、出航する時に大量持って行こうとは思ってるんですが、さすがに1400万光年はもたないと思うんですよ。』
『そうだな。』
『なので、トァカミさんには申し訳ないんですが、トァカミさんの実家に作っている研究施設を最優先で完成させて頂けるとありがたいです。』
『分かった。ただな、安全性の方も重要なので、慎重に事をはこびたい。』
『そうれは当然そうして頂いて結構です。それと帝国図版外に出たとき、情報端末の通信機能って使えるんでしょうか。』
『うむ?なるほど。何時も使えるのが普通だったから、それは考えてなかった。』
『使えなかった時の為に、量子通信とのメディアコンバーターも考えておかないといけないかもしれません。その拠点として、惑星クドラの研究施設か惑星エイメーヤの拠点にその設備を置いておく必要があると思います。』
『分かった。考えておく。』
『最後に、これはトァカミさんの理念に反するかもしれませんが、ウラスに搭載されている実態弾を量子転送技術を使って遮蔽物の後ろに飛ばせないでしょうか。以前あった海賊船の襲撃に小麦粉を使ったと思うんですが、万が一の安全のためにも検討頂けると有難いです。』
『んー。安全のためと言われるとなぁ。仕方ないか・・。だた、どれも研究と検証が必要だ。協力をお願いするかもしれないがその時は宜しくく頼む。』
『分かりました。協力出来る事はやりますので言ってください。』
俺達はこの後一旦惑星クドラのトァカミさんの実家に戻り、研究と実験検証を繰り返し半年近く掛けて転送装置と通信機、護衛行動が可能なメイド型生体アンドロイドを完成させた。ただ、まぁ。実態弾を量子転送するのはまだ調整中だったりする。
それでもって。俺と言えば惑星エイメーヤに行って、パプラス金属の採掘したり、傭兵組合の仕事を受けたり、資金の調達を頑張った。
そりゃもう頑張ったさ。荷物の運搬をな。なので傭兵ランクがGからFになったぜ。www。
それと、地球が見つかった時の為にウラスの胴体?ブリッジの下?の両脇に日章旗(日の丸の旗)をペイントしてもらった。
航空法なんて分からんし・・。
あと心配なのが地球の無線通信機ってこっちの通信機と繋がるのだろうか、最悪直接音声流すかしないとダメかも・・。
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