第28話

3-1

●クランドルン大学と惑星情報_1


惑星スサノアでの模擬戦も終わり、俺たちは駐留軍の港湾施設を出て、一路サトア第一星系の惑星サトアへ向けて旅を再開した。

クランドル帝国の主星惑星クランドルには惑星サトアのお隣の星系なのであと4日もしないで着く。


しかし、模擬戦が終わった後のアニエル少佐は怖かったなぁ。ただ、理不尽際なりない。

模擬戦もウダ中尉が1戦目が終わった段階でもうダメそうだったので速攻で2戦目と3戦目終わらせて帰還してきて必死に助け出したのに・・。

航宙軍パイロットのヘルメットって気密性が高くて、食べ物を戻したりしたらほんとに窒息するからね。

それを胸を触っただの、お尻を触っただの、じゃぁ。どうやって助けろてんだよ。まったく。

あれ?「私が居るのに」ってどうゆう意味だ?

アニエル少佐なら触っても良いって事?

いやいや、違ったら怖いからやめとこ・・。と言うかしないし。やってないからな。

まぁいいや。また拗れさすと佐井田さんが煩いからな。


そうれはそうと、そろそろ提督と学長にアポ取っとかないとダメかな。

あれ。陛下が先か?後でアニエル少佐に聞いてみよ。


その日の夕食時、アニエル少佐に聞いてみた。

『惑星クランドルに付いたら、陛下と提督と学長に会いたいんだけど。順番とか気にした方がいいかな。』

『いえ。順番は大丈夫だと思いますよ。ただ、陛下は会いに行かないと拗ねると思いすが・・。』

『陛下、拗ねるんだ。www。』

するとトァカミさんが手を上げて『私も学長に用事があるし、スケジュールを聞いておくよ。』と言ってくれた。

続いてアニエル少佐が『では、私は陛下と提督のスケジュールを確認しておきます。』と言ってくれた。

俺は『トァカミさんもアニエル少佐も有難う。』とお礼を言った。


そして到着した惑星サトアでは毎度の如く駐留軍の指令官には挨拶に行ったが、その他は何事もなく、次の日には主星惑星クランドルを目指して出航できた。


その日の夕方、トァカミさんは学長から3日後以降だったら大体開いているとの返答をもらったそうだ。

アニエル少佐からは提督と陛下の予定を聞いたんだが、提督は惑星クランドルに付いたらすぐ報告に来いとの事。

陛下は夕食を食べながら話がしたいから何時でも良いとの事だった。


『じゃぁ。提督は惑星クランドルに付いて明日の朝に行く事にして、学長は1日空けて明々後日会う事にして、その次の日が陛下と夕食かで良いですかね?』

『分かった。学長にはそう伝えておこう。』

『分かりました。提督と陛下に伝えておきます。それと私一度帰って来いと父に言われてまして、明後日に一旦実家に行ってきます。』

『了解で~す。』


惑星クランドルに着くのは今日の遅い時間になるから、提督の所には明日の朝に行く事にした。

手土産って持って行った方が良いのだろうか。

まぁ、俺も食べたいから、フルーツタルトでも作って持っていくか。

持って行く分は1つ作るとして、俺たちの分は1つで8等分は少ないような・・。でも2つ作って1つを4等分だと多いしどうしよう。

とりあえず1つによう。少なくて食べたりなかったらまた後で作ればいいか。


惑星クランドルに着いた次の朝、一般人向けのコロニー型宇宙港から少し離れた場所に浮かんでいる帝国軍専用の航宙艦停泊施設からシャトル便で直接地上の帝国軍の施設内にある軍用宇宙港に降りてきた。

そして今、俺とアニエル少佐は作った手土産と報告用のメディアを持って、帝国軍本部の提督の執務室を訪れている。


『クサナギ大佐及びクランド少佐(アニエル)、ただいま戻りました。』

提督の執務机の前に並び俺とアニエル少佐はビシッと敬礼をした。

『直れ。良く来たな。そんな堅苦しくしなくていい。』

俺とアニエル少佐は敬礼を解いて、来訪の目的を話した。

『はい。本日は報告用のデバイスの提出とご相談させて頂きたい事案があり参りました。』

『分かった。報告用のデバイスは、あー、そっちのミンシアに渡せ。』

提督が指さしたのは、提督の執務机の右側に置いてある机に座った女性だった。階級は俺と同じ大佐のようだ。

『ミンシアは私の娘だ。畏まらなくていいからな。』

俺はミンシアさんに報告用デバイスを格納したケースとポケットから取り出したデバイスの暗号化解除用秘密鍵が格納されたチップを渡した。

『あと、これお菓子なんですが、後ほどお召し上がりください。これあまり日持ちしませんので明日位までに食べちゃってくださいね。』

『あまりそう言う事を気にするなよ。階級は付いているがユースケ君は陛下の直属なんだから立場的には私と変わらんのだぞ。』

『これは俺の趣味なんで、と言うか俺が食べたかったんで序に作ったような物なんですが。すいません。』

『そうか。まぁそれなら有難く貰っておくよ。あぁそれとこっちに座ってるのは、私の息子で提督代理を任せているベッケンだ。私が居ない時の緊急性が高い物は此奴に相談してくれ。』

『分かりました。ベッケンさん、よろしくお願いします。』

ベッケンさんも『よろしく』と言って片手を上げてくれたくれた。


『それで、相談とは何だ。』

『はい。クラーサ少尉の事で、彼女は今記憶を封印して生活をしておりますが、貴族の世界では周りが誇張された噂でいらぬ騒ぎを起こす可能性があります。また、逆に兵として活動した場合には危険なと言うか残忍な現場に赴かなくてなならない場合があると思います。その場合いつ記憶の封印が解けるが分かりません。最悪の場合、現場で錯乱し殺されてしまう可能性もあります。それを避けるため軍の内勤をした場合でも、軍にも貴族の子息が多数在籍している状況ではどのような事になるか分かりません。』

『ふむ。』

『そのような理由から、俺達と行動を共にするのが一番なのかなと思ったわけです。ただ、俺は彼女が軍の何処に所属しているのかも知らない状況なのですが、可能であれば俺の部下として異動させて頂けるとありがたいです。』

『確かにそうだな。彼女は貴族社会では生きていけないだろう。軍の中にも馬鹿な貴族の子息は五万といる。軍としても今回の事件はあのような海賊と変わらない輩を放置していた責任もある。被害者である彼女を誹謗中傷が蔓延するような場所で生活させるのは鬼の所業と言えるだろう。』

『お手数ですが、ご検討ください。』

『分かった。検討しよう。』


その後はトァカミさん達軍属でない5人の入館証を貰い、提督やベッケンさんと雑談をしてウラスに戻ってきた。

そして着替えをしてから、皆で民間人用の宇宙港へシャトルで移動し、再び地上へ下りて来た。

今日から地上のホテルに泊まり、あちこちの用事を済ませるつもりだ。


と言う訳で、ホテルに着いた訳だが、フロントでクラーサ少尉が俺と一緒に泊まると言い出し、アニエル少佐に直ぐにひっつかまリお説教をされていた。

結局、各自1人1部屋、佐井田さんと子供たちは二人部屋だが、それ以外は皆1人部屋を取った。


夕食をホテルで取り、今後の予定を共有した。

まず、明日はアニエル少佐が朝から実家に戻る。俺達は1日休暇。

次の日は俺とトァカミさんでクランドル総合大学に赴き学長と面会。

その次の日は、夕方から俺と佐井田さんと子供達とアニエル少佐で陛下と夕食会。


で、次の日の朝、朝食を取った後、アニエル少佐は実家のクランド公爵家へ向かった。

俺達は今日1日は休暇で、俺はホテルの部屋でのんびりしようと思っていたのだが、まず、子供達が何処かに行きたいと言い出し、クラーサ少尉も買い物に行きたいと言い出した。

皆で行こうと誘ったが、トァカミさんが明日学長に渡す資料が完成していないと断ってきた。

俺、女性陣に交じって買い物行くの? やばい、何か理由を付けて行かない方向に・・。頭をフル回転させたが何も思いつかず結局一緒にいく事になってしまった。

くっ。せめて俺の頭に8080チップが搭載されていれば思いついたかもしれないのに・・。

そして、俺はドナドナを口ずさみながら、クラーサ少尉と佐井田さんに連行されるのであった。


やってきたのはショッピングモール。最初は子供達の洋服を買うそうだ。

お店の中に入ると、佐井田さんとクラーサ少尉があーでもないこーでもないと言いながら、ミナちゃんとあみちゃんに服をあてがい、服の大きさを確認して買い物籠に入れていくんだが、かっ籠が山になってるけど、それ全部買うの?それ俺がお金払うんだよね。

子供ってすぐ大きくなるから服ってすぐ着れなくなるよね。それなのにそんなに買うの・・。


その後は、クラーサ少尉と佐井田さんの服を買わされた。

佐井田さん、試着して『どっちがいい』とか聞かないでほしい。

俺には美的感覚なんてノミ程もないんだから、勘弁してほしいよ。

仕方なく『どっちも似合うよ。』って言ったら剥れられるし、どうしたらいいの俺・・。


クラーサ少尉なんてもっと酷い、『どっちがいい』って言うから『こっちがいいな。似合ってるよ。』って言ったら、違う方を指して『私はこっちが良かったのに』って剥れられるし。まったくもう。決まってるなら聞くなよ。


しかも、試着して置いてなのも買わずに店出ちゃうし、有りなのそういうの・・。

最終的に6軒のお店で同じことをして、2軒目のお店に戻って服を購入していた。


最初の内は子供達も喜んでみていたんだけど、2軒目以降は飽きてしまい、さっきまで俺とアッチ向いてホイで遊んでいて、今は二人ともお眠で俺に抱っこされてうとうとしている。

この後、下着屋に行ったり、コスメのお店に行ったり、俺のスーツを買ったりして、帰ってきたのはホテルを出てから9時間後、まぁ。途中昼食を食べたりもしたんだが、もう行かない。絶対あの二人と一緒に買い物に行かない。俺のスーツを買ってる時間なんて30分も掛かってないのに・・。


◆----------

私は、皆と朝食を食べた後、実家に戻ってきていた。


戻って直ぐにお父様の執務室に呼び出され、ユースケ大佐との事を根ほり葉ほり聞かれ、挙句の果てには結婚式は何時頃になるとか、子供は結婚してからだとか、すごく疲れてしまいました。

お母様がお昼の支度が出来たので呼びに来てくれなかったら、まだ続いていたかもしれないと思うとゾッとします。

しかし、これで終わりませんでした。私が実家に戻っている事をどこから聞きつけたのか叔母様(陛下)が私の実家に来て、午前中に父に聞かれた事と同じような事を延々聞かれ、ほとほと疲れ切ってしまいました。

叔母様が帰ってから、結構な時間実家の自室で休まないとクラクラするほどでした。


その後、精根尽きはてる状態でホテルに帰ってきたのですが、『おかえり』と言ってくれたユースケ大佐の方がよっぽど疲れているようでしたね。


翌日に昨日は何をしていたのか佐井田さんに聞いたところ、皆で買い物に行ったそうです。

羨ましい。私も一緒に買い物に行きたかったわ。ユースケ大佐と一緒に服選んで、いえユースケ大佐に選んでもらった服を着たいわ。

今度は私の買い物に付き合って貰わないといけないわね。何か良い口実はないかしら。















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