第27話
3-1
●惑星スサノアの駐留軍と模擬戦
俺達は惑星シュナジーコを出発して、惑星スサノアへ向かっている。
途中の惑星セナミノフはクラーサ少尉が居るため寄港せず今回は通過している。
惑星スサノア着いた後は、サトア第一星系惑星サトアへ行き、クランドル帝国主星惑星クランドルに戻る予定だ。
しかし、惑星シュナジーコ出発前の騒動は酷かった。
俺、何かしたかな。
やっぱり神様を信じてないのがイケないのかな。
ただなぁ。俺日本人だし、八百万神の何を信じたらいいのか分からないし・・。
まぁ。多分だけど、八百万神ってきっと道徳的な教えなんだろうな。
例えば、百年使ったら神が宿る。付喪神。物を大事に使いなさいって事だろ。
今の地球世界の風潮と全く逆だよね。
消費しないと経済回らないもんね。海外から取り残されるし。
でもさ、家電なんかもすぐ壊れるようになったよね。ひと昔前?いやもうふた昔前かな、その当時の家電なんか20年は言い過ぎだけどそれ位使えてたのにな。
そう考えると、地球が統一国家の1国になったら経済戦争も無くなるし、変わるかもしれないな。w
まぁ。無いけどね。人って自分より弱い者を敢えて作り出す生き物だし・・。
話がそれた。
結婚するのは故郷が見つかってからって事も説明したし、もう、みんなを養うって宣言しちゃったから、いっぱい働いてお金稼ぐしかないか・・。
でもゲームはしたいんだよなぁ。
しっかし、こっちの世界ってゲームがないよな。情報端末はあるんだからゲームが有っても不思議じゃないんだけどなぁ。
実際、広告すら見た事ないし、ホントどっかで禁止令が出てるんじゃないかと思う位だよ。
シュミレーションゲームとかあっても不思議じゃないのに。まぁ、俺はシューティングしか興味ないけど。
こっちの世界の人って、余暇に何してるんだろうなぁ。
あれ?また話がそれた。
俺・・、知らないうちに・・、現実逃避してるのか・・。
そして、俺がぐだぐだ、ぶちぶち、くよくよとしてる間に船は惑星スサノアのコロニー型宇宙港に到着した。
俺とアニエル少佐は前にお世話になった、サルディン・クレバノ少将に挨拶しようと宇宙港の駐留軍施設に赴いたが、少将は地上に居るとの事で指令官代理のヒアサ・カゼイン大佐に挨拶をすることにした。
『ヒアサ大佐。本日は駐留軍の港湾施設をお貸し頂き有難う御座います。以前サルディン少将にもお世話になっておりますので、よろしくお伝えください。』
『ご挨拶頂き、有難う御座います。少将にもその旨お伝えさせてい頂きます。』
ヒアサ大佐はスラリとした体躯で眼鏡を掛けたイメ面さんだ。なんか航宙艦に乗って現場に出て来るのが想像できない感じた。文官の人だろうか?
そのヒアサ大佐の司令官席とエル字に置かれた席にはもう1人職員が居て必死に書類をさばいている。と言うか書類と情報端末を交互に見て唸っている。
此方はヒアサ大佐よりガッチリした体躯でおよそ事務仕事をするような感じではない。
ただこの人どこかで見た事が・・。あぁ。あの怠慢艦長か。
『中佐、先日はうちの航宙艇が故障したときに曳航してくださり、有難う御座いました。』
『ん。あぁ。いや。んっ。んー。あーーー!お前あの時の!』
ヒアサ大佐がすかさず咳ばらいをした。『オホン。クレハ中佐。相手は大佐ですよ。』
『ははは。いんですよ。中佐も大変そうなんで、明日息抜きに戦闘艇で模擬戦でもしませんか。私も訓練をしたいですし、ヒアサ大佐どうでしょう。』
ヒアサ大佐は少し考えてから了承してくれた。
『まぁ。良いでしょう。ただ、クレハ中佐負けたら事務処理が2倍になりますからね。』
あぁ。クレハ中佐がスゲー嫌な顔してる。
『良かったです。そうしましたら、明日戦闘艇を俺と中佐の分で2機お借りします。あっ。そうだ。すいませんが、お互いのバディを相手側の機体に乗せてやりませんか。バディの方も勉強なるでしょうし。アニエル少佐良いか?』
『えっ。はい。』・・アニエル少佐なんでホッしてるの・・。
『ちょっと待て、俺にはバディを組んでる奴なんていないぞ。』
『そうなんですか。じゃぁ、これから戦闘機動の勉強させたい隊員を中佐が選んでください。その方を俺の機体に載せますから。』
『分かった。選んでおく。』
『じゃぁ。明日惑星スサノア時間で午後2時から開始しましょう。1時位にはこちらに伺いますのでよろしくお願いいたします。』
そして俺とアニエル少佐は宇宙港の駐留軍管理棟を後にし、ウラスに戻った。
帰りがけ、俺はアニエル少佐に明日の模擬戦で俺の戦闘艇をちゃんと見ておくように言っておいた。
次の日の午後、俺たちは宇宙港の駐留軍管理棟前に来ていた。
もちろん今日はパイロットスーツにヘルメット持参だ。
既に戦闘艇が2隻が用意され、その前にパイロットと整備士たちが整列している。
そこに何故か、サルディン少将とヒアサ大佐もいた。
『ご無沙汰してます。サルディン少将』
『はい。こんにちわ。』
『今日は宇宙港まで上がってこられて、どうされたんですか。』
『そうれは、けん・・。オホン、監督ですよ。監督。』
この人、今、見物って言おうとしたよな・・。ヒアサ大佐も困った顔してるし。
そこへ、クレハ中佐がキリッとした女性パイロットを連れてやってきた。
『今日はよろしくな。そんで此奴が大佐の機体に乗るウダ・ポンディユ中尉だ。これでも惑星スサノアのコロニー型宇宙港の駐留軍中では3本の指に入るパイロットだ。』
なんかクレハ中佐がウダ中尉の肩や背中をバンバン叩いてるんだが大丈夫なのか。セクハラって言われない。
そんな中、ウダ中尉が『よろしくお願いします。』と挨拶をしてくる。
なんか、ウダ中尉は肌の色が薄茶色なんだけど、日に焼けてるの?それとも元々なの?
もうちょっと色が濃いとダークエルフみたいなんだが、胸も程よくデカいし。D位?Fはないだろ。
俺も『こちらこそ、よろしくお願いします。』と返事をしておいた。
ただね、アニエル少佐が脇腹を抓ってくるのよ。痛いからやめて。やっぱアニエル少佐フォ○スに目覚めてない?
俺達はそれぞれの機体に乗り込んでヘルメットを被った。
この機体は、戦闘艇なので前後に座席があるタンデム仕様にになっている。
なので俺は前の席にに、ウダ中尉が後ろの席に座っている。
実際の模擬戦は、この駐留地を出発して軍の演習空域まで移動し、そこで行う予定だ。
あれ?少将が救護用の巡洋艦に乗り込んでるんだが・・。付いてくるの・・。
◆----------
私はクレハ中佐の乗機の後席に座りヘルメットを被った。
まったくもう大佐は綺麗な女性を見るとすぐデレデレするんだから、帰ったらお仕置きかしら。
私も容姿には多少自信があったのに、なんで私を見てくれないのかしら、ホント自身が無くなるわ・・。
私がプンプン怒っていると、クレハ中佐は話しかけてくる。
『少佐、よろしくな。で実際大佐の戦闘の腕前はどうなんだ。』
『んー。端的に言うと変態です。』
『ブッ。腕前が変態ってどんなんだ。わははは。』
『ほんとですよ。模擬戦をやってみれば分かると思いますが、ホントに変態です。』
『まじか・・。』
『私はもう何回も乗ってるんで少し慣れてきちゃいましたが、大佐の後席に乗るウダ中尉に同情します。』
『わはははははは。そりゃ楽しめそうだ。』
私達は宇宙港を出発し15分ほどで軍の演習空域に到着し、模擬戦は3本勝負で勝敗を決める異なった。
最初は両機とも横並びで模擬戦スタートするみたい。これって後ろを取るのが難しいんじゃないかしら。
少将が軍の共通通信で開始を宣言すると、大佐は宣言と同時に発進していったが、クレハ中佐は1拍置いて発進した。
大佐とクレハ中佐の機体はどんどん離れていく。
『なんなんだ。同じ機体なのに速度が違いすぎる。』
すると大佐の機体が速度を落として同じスピードになった。
当然、クレハ中佐の機体が大佐の後ろを取る形になる。
『くそ。ハンデのつもりか。』
クレハ中佐がレーザー砲を打ち合始めるが当たらない。
『ちきしょう。照準がくるってるのか。』
クレハ中佐がレーザー砲を撃つ直前に共通通信を通じて、大佐の機体に乗っているウダ中尉が『ウッ。』『ウグッ』と唸っているのが聞こえる。
これは大佐が直前に回避行動をして、ウダ中尉にGが掛かって呻いてるはずです。
ただ、照準器に映る大佐の機体は激しく動いて機影が照準器の大きく外に出てしまう事もない。
何かに騙されているみたい・・。いえ。分かった。大佐が騙しているんだ。
照準器のアシスト機能を騙しているんだ。
このアシスト機能は敵の機体の速度、距離、進行方向を予測して照準円が移動する。
砲手はその照準円に向かって射撃する。
船の船首を傾けることで、照準器のアシスト機能と同時にパイロットも騙しているんだ。大佐すごいです。
クレハ中佐がレーザー砲が当たらなくてイライラしてきたその時、ウダ中尉の『ぎゃっ』と言う悲鳴と共に大佐の機影が照準器から消えた。
直後に、私が乗るクレハ中佐の機体に撃沈判定のランプが点滅しブザーが鳴った。
2戦目は距離を開けて相対した状態から開始だそうだ。
ここで、大佐からウダ中尉の呻き声で技のタイミングがバレちゃうので自分の機体の後席のマイクを切っていいか問合せがきた。
クレハ中佐は問題ないと了承し、マイクが切られた。
ただ、その後は直ぐに決着が付いた。
開始から最大船速でレーザーを避けながら近づいてきた、大佐の船は上昇方向の機首を向けたがと思たら視界から消えた。
そして、撃沈判定のランプが点滅しブザーが鳴った。
3戦目は距離を詰めメインスラスター同士を向き合わせた状態からスタートだそうだ。
しかし、3戦目はもっと早く決着が付いた。
開始して直ぐに船の向いてる進行方向に行ったと思ったら、大佐の船が180度クルっと回転し、引き撃ちで撃たれて撃沈判定がくだった。
模擬戦が終わり、私達は惑星スサノアのコロニー型宇宙港の駐留軍施設に戻ってきた。
私達より先に着いた大佐の機体から大佐が飛び出して来て、後席のウダ中尉が機体から降りるのを助けているみたい。
あっ。助け出す振りをしてさりげなく胸を触った。お尻も・・。もう。お仕置き決定です。
◆----------
俺は演習空域から惑星スサノアのコロニー型宇宙港の駐留軍施設に帰還を終えた。
何か、もうウダ中尉がふらふらで流石にまずかろうと前席から後席のハッチも開けて、整備士が掛けてくれた搭乗ハシゴを飛び移り、後席のウダ中尉のヘルメットを取ってやった。
脇の下に腕を突っ込み、何とか立たせ背中におぶって搭乗ハシゴ下り地上に卸してやったが、ウダ中尉は座り込んでしまい動けないようだ。
そこに自分の機体から降りたクレハ中佐が走りこんできた。
『おい。教えろ!大佐はどんな操艦してた。どうやったら、あんな機動が取れるんだ。』
クレハ中佐はウダ中尉の両肩を掴んで揺さぶってるんですが、それ今やっちゃダメな奴では・・。
案の定、ウダ中尉はケロケローとして、クレハ中佐のパイロットスーツにも掛かちゃってるし。うお。ウダ中尉ガン泣きだ。あら、水たまりも・・。
なんて、見てる場合ではなかった。
目の前に阿修羅がいる・・。
『大佐、そこに座ってください。』
なんで、俺?座れって正座だよな。でもこれ今逆らったらダメな奴だ。
俺は『はい。』と答えて、素直に正座したよ。
『どうして、大佐は女性が乗ってるにも関わらずあんな機動を取ったんですか、大佐ならGが掛からないように戦えたでしょう。』
『でも・・。いえ。はい。出来ました。』
『それに、ウダ中尉をコックピットから助け出した時、彼女の胸とお尻を触りましたよね。』
『いやそれは偶然で・・。はい。触りました。』
『私が居るのに、どうしてそう言う事するんですか。今度やったら、その場で泣きますよ。』
『はい。ごめんなさい。もうしません。』
『それと、佐井田さんにも言いますからね。』
『そっ。それはやめて。それだけはやめてください。』
俺は何度も頭を下げてお願いしたが、アニエル少佐はツーンとソッポを向いてる。
すると、クレハ中佐が『なんだぁ。痴話喧嘩かぁ』と絡んでくる。
見ればウダ中尉は同僚の女性兵士に肩を担がれ、駐留軍の施設に入っていくところだった。そんな中、クレハ中佐はどこ吹く風で言ってくる。
『いや。参った。ホントあの戦闘機動は変態だわ。』
クレハ中佐、何気なく吐しゃ物を俺のパイロットスーツに擦り付けて来るのやめてよ。それに俺は変態でも紳士でもないからな、普通の女好きだ。・・あれ?なんか違うような。
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