第13話
2-8
●航宙艇運用者試験と3Dプログラミング
俺は航宙艇運用者試験の講習を受けるため、惑星クドラのコロニー型宇宙港に来ている。
今日から航宙艇運用者試験を取得するまで宇宙港内でホテル暮らしだ。
航宙艇運用者試験はコロニー型宇宙港内にある航宙艇運航安全局で座学講習、シュミレーター講習、実機講習の後、筆記試験、実機試験に合格すれば取得できる。
また、筆記試験に合格しないと実機試験は受けられない。
俺は実機での操船だけは自信があるが、他は微妙なところだ。
なんと言っても、以前やったシュミレーションで、入港の時に何度かドッキングベイにぶっつけてるからなぁ。
とても不安だ。と思っていた時もありました。
座学の講習を聞いていたら、なんと入港、出航の操船はオートモードがあって自動なんだって。
なので、手動での接舷は試験は出ないそうだ。ただ、事例は少なく稀な事になるが故障なんかもあるから、接舷の練習はしておけって言ってたよ。
まぁ、自動車のオートマ限定免許で半クラッチの試験が無いのと同じだろう。違うかもしれんが・・。
座学で他には、航宙艇運用時の法律も説明される。当たり前か。
航宙艇運用時の上の定義は各銀河の回転方向に依存する。銀河を水平方向から見て右回転して見えるよう機体を維持した時、その上面方向を上と定義する。また、この定義は該当銀河の管轄内を有効とする。
直進してきた相対する船同氏はお互いに右に避ける事。
右舷側に見える直進船は右に迂回するか、減速し直進船の船尾側を通過する事。
左舷側に見える船が右折してくる場合、その進路を横切って左折してはならない。この場合、左舷側の相手の船尾が見えてら左折する事。
前方の直進船を追い抜く場合、安全な距離をとり、相手から目視出来るよう、左右もしくは上方を通過する事。また、追い抜かれる船は追い抜きが完了するまで速度、進行方向を変更してはならない。
外宇宙ではスピード制限はないが、コロニー型宇宙港管轄内(各宇宙港によっても違うが大体100Km圏内)は時速300km以下とする。
また、コロニー型宇宙港から10km圏内は時速80Km以下とする。3Km圏内は安全を確保し徐行を行う。
等々、航宙艇運用時の法律やルール、マナー等を2週間かけて受講したよ。
そして、この座学と同時にシュミレーターによる操船の講習もあっただけど、こっちはね、ほら、ゲームで慣れちゃってるから・・。
いや、そうだった、講習も終盤のシュミレーター内戦闘訓練の時、最高難易度の訓練で他の講習生が撃墜されていく中、俺が自動姿勢制御を切って敵機を全滅させたら、怒られちゃった。シュミレーターの人工重力システムが壊れるって。
この時、このシュミレーターの値段も聞いたんだけど、大体10億G位だそうな。
高い・・のか?航宙船を考えれば安いのか?
そうだ、人工重力と言えば、トァカミさんの船に乗ってるときに子供達と遊んだな。
仕組みは分からないんだけど、船の床や壁、テーブルや椅子、ベットのマットレス等々を触れていると床側に重力的な何かが働いているんだけど、空中に浮いたままどこにも触れてないと浮いたままになっちゃうんだよね。
ただ、このどこにも触れないってのがなかなか難しくて、浮くんだけどフヨフヨとどこかの方向に動いた状態で停止出来ないんだよね。
それと、間接的に触れると重力的な物が伝わって床方向に降下するんだけど、伝わる重力が減衰してるのか、こう触った瞬間にストン的な感じではなくて、スーコトン位な感じなんだよ。
あと、薄い物を挟んだだけだと減衰してる感じではないんだよな。両者の間に入る物の質量なのか厚みなのか分からないんだけどさ。
まぁ、航宙艇運用者試験の方は筆記試験も何とか合格して、実機試験は慣れちゃってたので簡単だった。
1人でのホテル暮らしも1ヶ月近くなると飽きてきて早くみんなに会いたいよ。
◆----------
航宙艇運用者試も取得しトァカミさんの実家に戻ってきて、もう3日。
何もすることがない・・。
地球に居た時には感じなかったけど、何もやる事がないとほんと辛い。
俺ってこんな性格だったっけ?仕事中毒にお侵されているのだろうか・・。
地球に居た時は何してたっけ?
・・・あっ、ゲームか・・。
「ギャラクティカ スクランブル」やりたい・・。新作出たのに・・。
やっぱり、シュミレーターがほしいなぁ。
あれ?。シュミレーターを改造するなら、開発言語覚えないといけないのでは・・。
・・・トァカミさんに開発言語の入門本持ってないか聞いてみよ。
早速、俺はトァカミさんの部屋を訪ねてみた。
トントントンとドアをノックし、俺はトァカミさんに部屋に入っていいか確認をした。
『トァカミさん、今伺いたいことがあるんですが、入って大丈夫ですか。』
トァカミさんが中から『はい。どうぞ。』と答えてくれたので、俺はドアを開けて中に入った。
『トァカミさん、すいません。直ぐにではないのですが、お金をためてシュミレーターを購入して中のソフトウェアを改造したくなりまして、トァカミさんが開発言語の教本みたいなものを持っていたら貸してほしいのですが。』
『そうか。あるぞ。雄介君の情報端末に送っておこう。』
トァカミさんが自分が読んでいたであろう情報端末の本を閉じて、俺の情報端末に開発言語の入門書を送ってくれた。
情報端末を見ると本のタイトルが表示されているので、見ると『Quantum言語入門、3Dプログラミング』と書かれていた。
俺は『有難う御座います。』とお礼を言い、また情報端末で本を読もうとしているトァカミさんに『トァカミさんあんまり部屋の中で本ばっかり読んでると体に悪いですよ。たまには日の光を浴びないと。まぁ、俺が言うのも何なんですが・・。』と言うと、『そうか』と言い、情報端末を持って部屋を出て行ってしまった。
まさかと思い、付いて行くと案の定、日の当たる庭のテラスに行きそこにおいてある椅子に座って本を読み始めた。
いや、俺、そう言う意味で言ったんじゃないんだけど、日の下で体動かさないと意味ないよね。
まぁいいや、俺も部屋に戻って入門書読も。
えーと。最初は『現代コンピュータの概要』。
なるほど、こちらの世界のパソコンには、量子MPUチップが搭載されてるのね。
『パソコンにはこれが1個~4個搭載されていて、最速の物で計算速度は100ペタフロップス、1秒間に100京回の演算が可能。』
ふむふむ。って、なんじゃこりゃ。化け物かよ。
『航宙船などには20個前後の量子MPUチップが搭載されており、計算速度は約500ペタフロップス、1秒間に500京回の演算が可能であり、この計算速度でワープ時のルート計算等を瞬時に行えるようになっている。』
・・航宙船に搭載されているコンピュータって計算速度が富岳より上なのね。
そう言えば、まだ地球に居る時にTOS○IBAの量子暗号化通信のテレビCMを見てびっくりしたなぁ。
もう量子の活用製品が出る時代なのかって・・。
『この量子MPUチップ搭載コンピュータに対応させた言語がQuantum言語となる。』
次の項目は『Quantum言語の概要』ね。
『Quantum言語は量子MPUチップの処理能力を生かし、予測計算を行い結果を三次元行列により返す。』
『また、この予測計算の結果の予測を三次元行列計算し二次予測結果を三次元行列により返す。』
『この予測結果は最大64階層まで計算され、メインプログラムはこの予想結果と条件が合致した値をチョイスし、値がチョイスされた階層は破棄され、最大階層以降の予測計算が行われる。』
『このメインプログラム及び予測計算制御を行うのが、Quantum言語となる。』
なんじゃこりゃ。行列計算の嵐・・・。
行列嫌い。学校行ってた時に赤点ギリギリだった。
て言うか、3Dプログラミングってグラフィックの3Dじゃないのね・・。
◆----------
私は今日、提督に呼び出され、提督の執務室に来ている。
何故か、執務室にはあばさま・・、いえ皇帝陛下とお父様がいる。
提督が引き出しから辞令書を取り出し読み上げる。
『辞令、アニエル・エファ・タゥ・クランド、貴殿を近衛隊特務少佐とする。』
なんで、特務少佐になるのかさっぱり分からない。
私、近衛隊でまだ少尉なんだけど・・、3階級特進なんて私戦死してないわよ。
続いて提督が命令書をおば・・、皇帝陛下に渡し、その命令書を皇帝陛下が読み上げる。
『アニエル特務少佐、貴殿はこの辞令書と共に名称ウラス、型番FLK-0137-Cをクドラメーヤ星系のクドラ子爵邸に滞在するユウスケ・クサナギに引き渡す事を命じる。また、引き渡し後は、ユウスケ特務大佐の業務サポートに付く事を命じる。』
え。平民に戦闘艦渡すの。いや、今回大佐になるからいいの?
私って、平民の部下になるの。公爵令嬢なのに・・。
私は『拝命致しました。』と命令書を受け取り、辞令書を預かった。
ひと段落して、私は皇帝陛下に今回の辞令や命令の本意を聞いてみた。
『陛下、この方が重要な人物であるのは分かるのですが、何なのでしょうこの人事や命令は。』
『ふふっ。彼奴は本当に重要人物だぞ。嫌われぬよう十分注意するのじゃ。彼奴はのお前の夫君になるやもしれぬ男じゃからの。』
私がびっくりしてお父様を見ると、ゆっくり頷いていた。
私は唖然となるとともに驚愕となった。
私、変な男と結婚させられるのが嫌で、軍に入ったんだけど・・。
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