第11話

2-6

●今後と地球探索の方針


俺たちは、今、トァカミさんのお兄さんが操船する宇宙船のリビングに居る。

宇宙船を購入しなくても良くなったため、トァカミさんの実家に連絡したところ、お兄さんが迎えに来てくれたんだ。

トァカミさんの兄弟は兄が2人、姉が1人、妹が1人だそうだ。

お兄さん達は既に結婚していて、それぞれお嫁さんが居てトァカミさんの実家で暮らしているそうだ。

お姉さんも、他の家にお嫁に行ってしまって、実家にはもう居ないそうだ。

妹さんは未婚で実家に居るらしい。

今回、迎えに来てくれたのは次男のジーザ・ダ・クドラさん、もう一人のお兄さんは当主であるお父様のサポートで自宅で仕事をされているそうだ。

トァカミさんはお父様から早く結婚しろとせっつかれているらしいけど、本人はどこ吹く風だ。

今もお茶を飲みながら、難しい本を読んでいる。


それで、俺はこの時間に今後の事を話し合おうと、皆にリビングに集まってもらったのだ。

まぁ。俺が暇だったのもあるんだけどね。


今日のお茶菓子は俺が暇に飽かせて作った生クリームを載せたプリンだ。

生クリームを作るのがほんと大変だったよ。

でも、船の旅ってほんとやる事がない。今は仕事もないし・・。ゲームがしたい・・。

そういえば、Gを再現した大きな箱型のシュミレーターがあるらしいんだけど、1台いくら位するんだろう。

やってみたいし、改造してゲームみたいにしたい。

プログラミングだったら前職がプログラマーだったから出来そうなんだけど、こっちの開発言語は俺が知っているものとは違うんだろうな。

今度、トァカミさんにプログラム開発言語の本とかないか聞いてみようかな。


そうれでは本題に入ろう。なんか子供達とカムミムさんがお預け状態で早くしないと涎垂れちゃいそうなんでね。

『では、第一回「地球」探索方針会議を始めます。』と俺が開会を宣言すると、さっそく子供達はプリンを頬張っていた。

カムミムさんは優雅に一口食べて、なんかうっとりしてない・・。トァカミさんは興味なさそうだけど、口の端が微妙にピクピクしてるよね。


『まず、トァカミさんとカムミムさんのお家に挨拶をしに行くのは決まっているので省きます。』

子供達以外が頷くのを確認して、

『その後、一度トァカミさんの大学に戻って、惑星に詳しい先生方に人が住めそうな惑星について聞いてみたいのですが、どうでしょうか。』

『俺自身全く惑星の事を分かっていないので、まずは知っている方を訪ねたいと思ったのですが、トァカミさんどうでしょう。』

『私は問題ない。それにある程度行先の工程を決めておくのは大事だと思う。』

『はい。調査対象の宇宙図?を作成し、ルートや工程を決めたいと思います。』

『ただ、探索の旅をずっとしている訳にも行かないと思うので、何処かに拠点を設けて1回の探索が終わったら一度そこに帰還したいと思っています。補給もありますし、休息も取らないといけないでしょうし。』

『そうだな。ただ、拠点に関しては家の実家で良いのではないか。』

トァカミさんはそう言うが、貴族の家にずっと居たいかと言うとちょっとね。実家の雰囲気によるよね。それに来客なんかもあるだろうし。

『そうですね。でも、気を張った探索が終わって、気を使わなければいけない他人のお宅で休むのもちょっとなって思いまして、出来ればトァカミさんかカムミムさんの実家に近くで拠点が持てたらいいなと思ってます。それに、ほら、トァカミさんの研究対象の実験が出来る位、人の余りいない田舎がいいんですが。』

『みっ魅力的な話だが、そんなところは記憶にないな。』

カムミムさんがうんうん頷いているので、カムミムさんの実家の近くにもないのだろう。

『そうですか。まお、拠点は直ぐに必要と言う訳ではないので、後にしましょう。』


『それで探索時なのですが、子供達をどうするか。危険が伴う旅に一緒に連れて行くのはどうかと思っているのですが。』

『そうだな。それも私の実家かカムミムの実家に預かってもらえるか相談してみよう。』

すると、ミナちゃんが『あたし探検に行きたい。』と言い出した。あみちゃんは『あたしはミナちゃんと一緒がいい。』と言う。

見ると子供達のプリンの皿はすっかりきれいになっていた。

佐井田さんがミナちゃんに『危ないのよ。』と説得しているが、ミナちゃんは『探検行きたい。』と駄々をこねている。

『じゃぁ。比較的安全な場所だけ一緒に行こうか。』と言うと、ミナちゃんは『やったー!』と喜んでいたが、佐井田さんは俺をあきれた顔で見ていた。


その後は、俺が航宙艇運用者試験を取って、航宙艇傭兵組合に入ろうと思っている事を伝えて、第一回会議は終了した。



会議終了後、『ところで、トァカミさん』と俺はトァカミさんを呼び止めた。

『トァカミさんの事を、教授って呼んでいいですか。』

『私は教授ではないが・・。』

『あー!俺の故郷の音楽ユニットで『黄色油性ペンオーケストラ』ってユニットが居たんですけど、そのメンバーでトァカミさんに似てる人が居たんですよ。で、その人の愛称が、教授だったんで、そうよべたらなぁ。なんて・・。』

『ま、まぁ好きに呼べばいい。』トァカミさんちょっとうれしいのかな。口の端がピクピクしてる。

あと、俺はちゃんとイエローマジック○ーケストラって言ったぞ。言語翻訳インプラントのせいだからな。


その後、子供達に『教授。教授。』と呼ばれて困惑してたし。

それと子供達『きょうしゅ』じゃない『きょうじゅ』だぞ。



◆----------

わらわは今帝室の来客用ラウンジで従兄のゼタルク・タゥ・クランド公爵との会談をしておる。

『今代、帝室正当ヒューマンとして生まれたのはお主のところのアウリエルとアニエルの二人だけじゃ。しかもアウリエルは既にガランド侯爵家に嫁いでしまって居る。うちの子も帝室正当ヒューマンとして生まれなかった。』

このまま、わらわに子が生まれずわらわの子が皇帝となった場合、初の帝室正当ヒューマン以外の皇帝となる。

ただ、わらわももう今年で395歳じゃし、これ以上は子も生まれまい。

『このまま、次に皇帝としてわらわの子がなるにしても、次代、次々代にはもう子自体を授からなくなる可能性が大きい。』

このゼタルクにおいてもわらわの親の弟の子で妹の旦那になる。

妹は帝室正当ヒューマンとしてアウリエルとアニエルの2人の女子をなしているが、妹との子はこの2人のみ、他に側室の子として男子が1人、女子が2人いずれもエルフ型のヒューマンである。

『すまぬが、お主の子アニエルと彼奴の婚姻を認めてくれぬか。爵位が問題と言うならば彼奴を帝室の養子として迎えてもよい。』

実際、大の昔から男子で帝室正当ヒューマンとして生まれてきた子はほとんどいなかった。

その代わり、6代前の皇帝までは女子はほぼ100%帝室正当ヒューマンとして生まれてきておる。

そして、皇帝には建国当初から帝室正当ヒューマンの女子が付いている。

今では何故かは分からぬが、この国は女帝が建国した女帝国なのである。

『まぁ。アニエルか彼奴のどちらかがこの婚姻を嫌がれば、この話も無駄になってしまうがの。アニエルも貴族の子、我らが頼めばそのあたりは大丈夫だとは思うが。彼奴の方はこちらの事情に拝領する必要もないからの。』


それまで黙して聞いていたゼタルクだったが、『分かった。』と口を開いた。

『但し、我らにも外聞がある。其奴と婚姻を結ぶならば、其奴に相応の爵位が無いと困る。』

わらわは『あいわかった。』と頷いた。



ここで、帝国軍のトップ、提督であるザウバー・ジ・ガラント侯爵が会談に加わった。

先に出てきたアウリエルはこの男の息子の嫁である。


『唐突で悪いが、例の男の元にウラスを送ってもらえぬか。』

ウラスとは型番をFLK-0137-Cといい、軍用戦闘艦の調査船仕様となる。

上から見ると翼を閉じた米国戦闘機F-14に似ているが、球体の上部を切り取ったような2砲門の旋回式レーザー砲塔が上部に付いており、Gファ○ター寄りの機体になる。

ただ、Gフ○イターより上部の砲塔の長さが1/3程度と短く、太さも1/2位の細いものにはなる。

武装は先ほどの旋回式レーザー砲2門と機首部に固定式レーザー砲2門、翼元部にミサイルポッドが各1門(各20発)計2門、翼端部に電磁式20mm実態弾連射砲各1門計2門、翼底面に旋回式パルスレーザー砲が各1門計2門搭載されている。

大きさ的には全長:150m、全幅:100m、全高:30m(垂直尾翼含む:35m)。

ジャネレーターは2基搭載されており、片方が停止しても残りの1基で航行可能になっている。

また、付属に全長20m級の戦闘艇を1基搭載している。

この戦闘艇は2人乗りで、地表調査時の先行調査等にも使えるようになっている。

形状はずんぐりした三角形で、武装は機首に固定式レーザー砲1門、機体サイドに固定式パルスレーザーが左右1門ずつ計2門付いており、底部にはミサイルポッド1門(10発)が付いている。

『分かりました。しかし、民間人に軍用艦を渡して大丈夫なのですか。』

『ふむ。彼奴はわらわの近衛隊に入れることにした。彼奴の了承も得ている。それとゼタルクの娘のアニエルを補佐役に付けることにした。』

『なるほど。そういう事でしたか。しかし、クランド卿も良く了承しましたな。』

ザウバーもその意味に気が付いたようだ。ゼタルクの方を向き疑問を呈している。

『私とて、私的には納得しておらん。ただ、現状の帝室の問題が解決するならば致し方なしだ。』


数日後、アニエルが皇帝陛下からの辞令と父であるザウバーから得体のしれない男性のサポートをしろと言われ困惑するのだが、それはまた別のお話。












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