第51話 アウトサイダーアート ヴィヴィアン・ガールズ
最後に最も代表的でかつ親しみやすいヘンリー・ダーガーにも触れておきます。
1892年、シカゴ生まれの作家でわたしも大好きです。
刺さるファンも多く、人気もあります。
独自の手法、試行錯誤で生み出された『非現実の王国で』(正式名称、調べないとわかりません)は本当にすばらしい。
ヘンリー・ダーガーのドキュメンタリーDVDデラックス版を持ってますが、それによると発達障害だったんじゃないかな? という気がします。
サクっと人物像をば。
・知能が高かった。小学校飛び級したとか。
・極端に人と関わろうとしなかった。理解者は彼の生前ひとりもいませんでした。ひとり友だちができるんですけどその交流も長くはなかった。徹底して孤独です。恋愛歴なんかもないようです。
何度も養子を申請するものの却下されてます。
・トゥレット症じゃないかと思われるものがあって、それが原因によるいじめを受けたりもあった。
・既成のアートから著しく逸脱。また独自のこだわりも強く、色々突出した点なんかも見られます。
発達障害的な感じであって、いわゆる精神障害とも違うかと思います。
ヘンリー・ダーガーの生き方はおかしいと言えばおかしいですけど、別に障害者でもないような……とにかく孤独なあまり生前のダーガーを知る人も居ないとあっては真相は闇の中ですのでわかりません!
何とか一人で食い繋ぎ生活できてたとも言えます。掃除夫などをしつつ低賃金ながらも働いてました。
そんな彼の生き方もまた愛されてるポイントかなとも思います。
トゥレット症って大きくわけると音声チックと運動チックがありますが、ダーガーは音声だと思います。
ちなみに当エッセイの44〜45話に書いた大学生はどちらもありました。
発症率が10000人に5〜10人にほどの割合で神経系疾患の難病にも認定されてます。
日本では発達障害に含まれてます。
◇◇
もうひとつだけ書いて終わりにします。
◇ モートン・バートレット型
モートン・バートレットは1909年、シカゴ生まれ。
なんらかの精神疾患を抱えてたとか、そういうのはなくふつうに幾つか職に就てましたが、ただ生涯独身の男性ではありました。
そんなバートレットは孤独を慰める意図があったのかどうかわかりませんが、27歳から27年間に渡って少女の精巧な石膏の人形の制作をしていました。解剖学の本などを参考するなど並々ならぬ熱量も感じます。お洋服も自作みたい。
等身大に近い割りと大きめの人形です。
そんなことを個人的な趣味として続けていました。
特に公にしようとかそんな意図もなくです。
バートレットが人形を制作した年は1936年で、ハンス・ベルメールの球体関節人形の写真集が出版された年でもありまして、それに触発されたのかはわかりせんが、割りとその点は関連付けられます。
なにかヘンリー・ダーガーを連想しませんか?
孤独で非現実の女児を愛でるというところが。
ルイス・キャロルなんかも思い出します。けどキャロルはリアルな女児と接してたという違いがありそうですが、でも結局写真を撮るという二次元の落とし込みをしてますので、非現実という点でもやはり近いものを感じます。
『不思議の国のアリス』もそも、その女の子に聞かせるために考えられた物語でしたね。
(美談なのかは置いておきますが……)
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