第49話 アウトサイダーアート ややこしいの3

 ゴッホ問題。

 ゴッホを持ち出すと、専門家でもややこしくなるかなと思います。

 精神疾患による幻視者という観点からアウトサイダーアートに入れられてることもあったりします。

 アウトサイダーアートか既成のアートかどっちかわからんという感じでしょうか。


 わたしは既成のアートと思ってますけどね。

 そもアール・ブリュットの定義からは外れてはいます。

 精神病院にぶち込まれ歴や、色々奇行がありましたが、真相はもはや闇の中になってしまってる件も多々あります。

 何の精神疾患だったかも諸説あってはっきりしてません。全て仮説です。

 性病の梅毒で頭をヤラレてた説なんかもありますし、やはりというか発達障害のASD説もあるのですが、そうなるとゴッホの〝狂気の人〟というイメージがなくなってしまいそうです。

 死因もピストル自殺なのか他殺なのかもはっきりしてません。


 単純にゴッホの絵を見たら、既成のアートの流れに沿ってますし、こなれてるじゃないか! と思います。

 独学ではなく、色々習ったりもしてました。

 また、弟のテオが理解者で画商でした。そこもアウトサイダーアートではない大きなポイントだと思います。

 ゴーギャンに「こいつメンヘラでウザい」と逃げられたわけですが、美術界との繋がりもゼロじゃなかったんですね。

 亡くなった年に入った辺りから評価もされるようなりました。

 ゴッホは少なくとも弟には恵まれてたんです。


 ね、アウトサイダーアートじゃないでしょ?

 確かにほんのり狂気がにじみ出てはいますけど。


 精神障害を抱えてておかしな生き方をしたからアウトサイダーアート……そも、アウトサイダーという言葉自体が誤解されやすいのかもしれませんね。

 ちなみにアール・ブリュットを英訳したロジャー・カーディナル自身も納得してなかったそうです。


 重要なのは、描いた人がどうだったかより、作品の内容でしょう。

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