第39話 発達障害のびっくり突出癖 社交不安症?の男子


⚫️ 電車の椅子に座れない同級生、18か19歳


 前回書いた自閉症の同級生、スポックくんのほうが印象が強いため、すっかり忘れてましたけど、よく思い出してみたら、学生寮時代は更にヤバいんじゃないのかと思う同級生もいました。

 N島とします。


 彼はわたしの部屋の隣りに住んでたんですけど、寮生活が始まって最初のふた月くらいは、全く顔を合わせたことがありませんでした。

 隣りの部屋は空き部屋かなと思ってました。


 ふた月くらい経って、寮長に紹介されました。

「仲良くしてやってよ」と。


 空き部屋かと思ってた隣りに人が住んでたことにびっくりしました!


 寮長の話では、N島は寮生活の初日から、共同浴場に入ることが出来ず泣いていたと言います。

 その話もびっくりしました。


 わたしの部屋の隣りに住みつつ、ふた月に渡って気配を消し、わたしと顔を合わせないようにしてたとか、忍者か! 

(トイレ、アイロン、掃除機、冷蔵庫、洗濯機と洗面所も共同です。朝と夜の食堂も)


 N島と話してみると、割りと常識人というかまともだったり、彼が寮の中では一番趣味が合うので、わたしにとっては貴重な人材だと思いました。接してる分には変人な感じはしません。ふつうでした。


 彼が描く絵もかなりセンス良かったんですけど、恥ずかしがってそうそう見せてくれないんです。

 絵が上手くても、どこかに発表しないとか勿体無いですよね……。


 電車に乗ると、彼は向かいの席の人と目が合うのが怖いと言って、電車内では決して座ることはありませんでした。

 学校まで片道1時間くらいかかってたと思います。

 わたしには座って本でも読んでないと耐えられませんでした。


 対人恐怖症みたいなものかと思ってました。

 寮内では、みんな比較的フレンドリーというか小学生みたいなノリだったため、彼の変わったところは特に目立ちませんでした。


 ある時、自閉症の同級生、スポックスくんの部屋に置かれてた芳香剤に「ペット用」とマジックで書かれてることに気がつきました。

 そういう冗談が過ぎるいたずらをするのもN島でした。


 学校では隅っこのほうに座って、人と接しようすることは一切ありませんでしたが。


 寮内ですと、わたしの部屋のようにビデオデッキがあり、かつマンガが沢山あるとか、あとゲーム機のある部屋に人が集まりやすかった。

 部屋にPCエンジンがある同級生もいましたし、N島の部屋にはMSX(パソコンです)があったことでも人が集まりやすい傾向があったんです。


 そんなですので次第に人間関係に慣れていく感じもありました。社会に出ても慣れるのは時間かかりそうですが、なんとかなるんじゃないかと当時は思いました。

 ですがスポックスくんより、N島のほうが社会生活は困難になったのではと思います。

 最終的には、不意に寮から出て行ってしまい、以降学校にも来なくなってしまったので、連絡を取る方法もなくなり残念に思いました。


 スポックスくんのほうがまだ人見知りせず、ビデオデッキや鉄道模型が欲しくて、ふつうにバイトしたり就活してました。

 

 ちなみにスポックスくんは自ら「自閉症」と言ってましたし、何かしらの精神科から処方された薬も飲んでいましたが、N島の場合は、本人から何らかのメンタル疾患があるとも聞いてないですし、精神科の受診歴もなかったんじゃないかと思います。

 そういう様子はありませんでした。



 発達障害は、自分の得意不得意をよく知る必要があるかと思います。

 その自覚がなく、わざわざ自分の苦手な職に就いてるかたも多いんじゃないでしょうか。


 N島は、リモートワークしかできそうにないですね……。しかし、そんなことはまた先のことで、87〜88年のエピソードでした……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る