第34話 ジャイアンの場合(後編)

 ジャイアンは次第に、薄々は皆んなが自分の歌う歌を嫌がってると感じるようになります。


 皆んなは、ジャイアンが怖いから嫌々野外ライヴを聴きに来てるだけだと。

 ちょっと可哀想ですね。

 でも、ジャイアンも歌を聴く側、リスナーの気持ちにも寄り添うべきなのです。


 人の気持ちを考えず、一方的に勝手に盛り上がって皆んな感動するに違いないとか盛大な勘違いをやらかし、求められてないものを人に押し付けるのははた迷惑です。

 やるなら、ひとりでこっそり歌うべきかと。

 YouTubeにでもアップして。……でもそのURLを皆んなに送信するんでしょうね……。


 ジャイアンはデリカシーや慎みを学ぶべきでしょう。

 でも、デリカシーのない人のほうが出世するのかもしれませんが。「嫌われる勇気」なんて言葉もあります(その意味は知りませんが。どうでもいい)

 トライ&エラーを繰り返し、失敗からきちんと学びさえすれば成長は速いかもしれません。


 あと、音痴であるという点なのですが、作動記憶、ワーキングメモリーが小さいのでしょうね。

 あんなに歌ってばかりでしたら、歌も上手くなりそうなのにそうならないというのは、そこに何かしらの学習障害が隠れてるのかもしれません。

 その点も親近感を感じます。かくいうわたしもまたとてつもなく音痴です。   


 ジャイアンと似たようなこともしてきました。

 ウケるだろうとひとり盛り上がって、いざ本番では盛大に滑ったなんてことかなりあります

 中学生時代、皆んなの前で演説して笑いを取りたいという理由で生徒会に立候補したという黒歴史がありまして……。思えばその辺のリベンジで水商売やってたのかもしれん……。


 でもジャイアンはわたしと違って妹思い……って言えるのかちょっとよくわかりませんが(空気読めず単なるエゴになってる可能もあるので)でも、ジャイ子がマンガを描くことには非常に協力的ではあります。

 ジャイアンなりに力になろうと行動します。割りと世話焼きだったり、男気のある性格かもしれません。


 あれ? 意外に良いヤツ?

 初期のジャイアンは、ドラえもんの四次元ポケットと同じような未来の秘密道具が詰まったバッグを偶然手に入れ、それを使って世界征服まで企んだこともあるという回がありましたが。なんだろう? まだキャラが安定してなくてブレてたんでしょうか?

 

 確かに一番あかんのは現在ですと犯罪になってしまうほどの暴力です。

 でも、時代背景的にも回を追うごとにその辺は抑えられるようにはなった印象はあります。

 バットで殴る、怪我を負わす、動物虐待などに至ってはギャグマンガの誇張表現ということにしておきます……。


 

 ◇

 

 大長編ドラえもんではなく、通常のドラえもんのほうでは、ジャイアンとスネ夫はイヤなやつとして描かれてます。

 ジャイアンは実はそこまでイヤやつでもなく、ちょっと憎めないところがありますが。そういうとスネ夫もですね。


 わたしとしては、通常のドラえもんのほうが好きです。

 大長編では良いやつになるとかどうなのかとも思いますし……(それはそれでアリかもしれませんが)それで、大長編で友情を育んでも通常のドラえもんになると、またリセットされてしまいますし。


 なにせ、みんなまだ小学生ですから、無垢ゆえの残酷性、サイコな一面を持ち合わせても、当たり前だとも思います。そういうもの含めての無邪気、子どもらしさでしょう。

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