第7話 初魔法
――
――ジョブが、「暗殺者」?
――「勇者」ではないのか・・・・・。
――
スキル、ギフトの(next page)を開く。
――
【スキル】999
1「火魔法 スキルLV9」
2「水魔法 スキルLV9」
3「土魔法 スキルLV9」
4「風魔法 スキルLV9」
5「雷魔法 スキルLV9」
6「無魔法 スキルLV9」
7「聖魔法 スキルLV9」
8「闇魔法 スキルLV9」
9「剣聖 スキルLV9」
10「剣技 スキルLV9」
11「弓技 スキルLV9」
12「鎚技 スキルLV9」
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【ギフト】99
1「鑑定」
2「空間収納」
3「錬金」
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――
――LVはカンストと神は驚いていたが、スキル、ギフトも?
そういえば、神にはLV以外確認をさせなかったな・・・。
考察している間にシーナが戻ってくる。
「で、どうじゃった?」
「聞くが、転移人のジョブに勇者以外はあるのか?」
「転移人は勇者、賢者、聖者のどれかじゃろ。お主は賢者か聖者なんか?」
顎に手をやり考え込むゴトー。
「その表情は、どれも違うようじゃの。
転移人にそれ以外のパターンがあるとは知らんかったわ」
「ジョブ・チェンジとかはあるのか?」
「チェンジ? LVの低い下位ならともかく、人族の最上位クラスのジョブはほとんどが生まれつきの固定じゃぞ。
例外は亜人獣人の「覚醒」いうやつがあって覚醒すりゃ変わるものもあるわ」
「・・・・・」
「転移人の全容はワッチも一部しか知らんでのう。できるんかもしれんが、帝国や国の上層部じゃなければ詳しいことは分からん思うわ」
――転移人は暗殺者から勇者に変化するタイミングがあるということなのか?
「まあワッチはお主が勇者じゃろうが、村人じゃろうが関係ないんじゃがのう」
「他とのLV比較、差異を確認したい。俺のLVは99だ」
「………は?」
「99だ」
「限界値じゃと!? なんじゃそりゃ!えぇーーー!!!」
「そこまで驚くことか」
「お主と出会おうて散々驚ろかされてきたが、今日一驚いたわ!
そんなん魔王レベルじゃ! え!? まさか、ジョブが魔王、と?」
「魔王ではない」
「トリプルじゃぞ! 恩威を受けた転移人でも初期は80前後と聞いておるぞ」
「トリプル?」
「LVの90台がSSSランク。これは魔族、魔王クラス。
80台がSS。70台がS。60がA。
ワッチは、LV56のBランクじゃい」
「魔王と同クラス・・・」
「同クラスどころか、それもう魔王、超えてるんじゃないんか?」
――恩威で若さ、身体強化、魔力を授けると言っていたが・・・。
「お主はその体格じゃ。物理に特化して魔力が劣っとるとかじゃないんか? 魔力の数値はなんぼあるんじゃい。言えるなら言うてみい」
「・・・魔力は999だ」
「………は?」
「攻撃力も含めオール999、これはカンストとみていいのか?」
絶句のシーナ。
「……転移人は出鱈目じゃのう。ワッチでさえ昔は800ちょいじゃったぞい」
「その数値は高ランクのようだが」
「訳あって今はランクが下がっておる……。
「呪術」に掛かっておるでの。じゃが魔法は現役、今でもそこそこ扱えるぞい」
――この幼女のステータスは? いや、これはルール違反か。自分に仇なす存在なら鑑定には躊躇はないが。
「それでその、ワッチの呪いや、都落ちした訳ありを知りたい思わんか?」
「魔法はどうすれば扱えるんだ?」
「……え?」
「呪文や唱えかたがあるのか?」
「………」「・・・・・」
「もう流れを読まんお主にはなんも期待せんわ。チキュウではどうしてたんじゃ?」
「地球には魔術魔法の類は一切存在しない。全て空想や創作、想像上のものだ」
「……魔法がない、じゃと!?」
「ああ」
「嘘じゃろ?」
「嘘ではない」
「どうやって敵をやっつけるんじゃ。あ! ケンジュウじゃな?」
「俺の武器は銃やライフル、時にナイフを扱った格闘戦だ」
「あの変わった飛び道具、それがお主の強さの秘密かい」
「しかしこの銃だけではせいぜい小物くらいしか通用しないだろう。この世界で生き抜いていく為には魔法の習得が重要と思われる」
「剣は使わんのか?」
「地球で剣での戦闘は、過去の戦争や決闘で活用されたくらいだな」
「チキュウでは剣での戦闘はない? 魔法も存在せん? 信じられないの……」
「ここの世界とは時代や文化そのもが違うからな」
「ええじゃろ。ワッチは魔法の専門職、何でも問うがよい。
魔法とは、イメージと使い手の技量なのじゃ」
――○送のフリーレンの世界観に近いのか?
「それが未熟なら威力は発揮できん。
いくらLVや魔力が多くても上手く扱えん奴は数多い。
言葉や言語はなんでもええんじゃ。
炎を出す時は「火」「炎」「焔」「火の玉」でも。
明確で鮮明なイメージを表すことが大事じゃ。
これを頭ん中で描けんことには、相当苦労するぞい」
――魔法はイメージ。主観的形象が重要・・・。
――その前に記念すべき初魔法は、スマホで録画、永久保存だな。
胸元からスマホを取り出し操作する。
「ん? なんじゃその四角い板は? 姿見か?」
「これはスマホだ」
「すまほ……?」
スマホカバーの背面に、
「○イドインアビス」の○ナチの絵。
「ウッサの獣人?」
「ウサギの獣人はこの世界に居るのか?」
「おるぞ」
「それは朗報だな。ちなみに獣人の友達は居るのか?」
「……知り合いがおらんこともないが」
「何獣人だ?」
「虎人族じゃ」
「虎か・・・」
ゴトーは満足げに頷く。
「……?」
倒木の上に角度を調整しスマホを設置。
●REC
シーナの元へと戻る。
「アレは一体何の意味があるのじゃ?」
「スマホの説明はいずれしよう。
それと、カメラの位置取りがある。
3メートル左に離れ、スマホを意識しないよう俺を見ててくれ」
「……?」
「魔法を試みるががいいか?」
「お、おう、頑張れや」
シーナは離れ、ゴトーは目を閉じ精神統一をする。
「そういや歴代転移人たちも魔法の収得には相当苦労したと記されておったのう。チキュウ人には難関かもしれんな」
ゴトーの目が開き、煙草を取り出し口に咥える。
人差し指を煙草の先に近づけ、集中してライターをイメージする。
――言葉は何でもいい・・・。
「できんくても恥ではないぞい。ワッチは弟子はとらん主義じゃが、転移人なら教えを乞えてもええぞい。こう見えても昔は神童と呼ばr、」
――火魔法[ライター]。 <ボッ>
指先から炎が揺らめく。
煙草に火を点けて一服する。
――イメージは地球上での経験、体験で問題なしと。
「ホントに魔法は初めてなんか?」
「初めてだ」
「まあ、属性がありゃ平民や子供でも出来る初期魔法じゃからな。じゃが無詠唱じゃったような……」
「魔法には詠唱が必須なのか?」
「ワッチやベテランの使い手ならある程度は無詠唱でもこなせるんじゃが、普通は言葉に出さんと発動はせんぞ。まして初心者、これが恩威を受けた転移人なんか?」
――なるほど、神からの恩威か。
「じゃがさすがに「火焔」「極炎」「煉獄」のような高位魔法は無理じゃろな。火力の高いもんは習得に数年掛かるでの。どうじゃ、ちょっ試してみんか?」
――イメージは実在するものでなくても、空想上のものでも可能なのか?
過去に遊戯したゲームの呪文を思い出し、手の平を手前の大木に向ける。
「さすがに無理じゃろうて。覚醒後のワッチでも修行の末、2年の歳月を、」
――「[○ラゾーマ]」
<ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!>
勢いよく炎が噴出。
周囲の樹々が火に包まれる。
「「!!!」」
――
7 初魔法 終わり
8 妖精
――
――
次回
ファンタジー鉄板の妖精が登場
――
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