第4話

ようやく俺のすみかを見つけたところで、ここでもう一回パン専用の機材を作り直すことにした。


「まずはオーブンだけど...」


オーブンを作るために素材を集めることにした。

とりあえず、石を集めて加工しなければならない。

もう一回洞窟の外に出て、良さそうな石を数個拾ってきた。

もちろん一人だけだと運べないので、勝手についてきてるモンスターたちに持たせた。

そして、数時間でオーブンが完成。

オーブンというか鎌だけど、石でできた箱の中にあらかじめ火を起こしておき、網目状にした石の板を固定してその上に物を置いて焼くことにした。

次はキッチンだ。

「余った石を使って作るかぁ。」

キッチンはあまり使わないと思うから、石で簡単に作った台にそこらへんに生えてた木を加工してまな板にした。

これで準備万端。


「さっそくパンを作ってみるか」

さっきと同じように作ったパン生地に、今回もフルーツを入れることに。

本当はカレーパンとかいろいろ作りたいけど、まだダンジョンに潜って来たばっかだし...

まあいいやと思いながら、パン生地をオーブンへとinした。


数分後。


「お、さっきよりもうまく焼けてるな」


オーブンがあることで格段と作りやすさが上がった。

ちなみに、石を割ったりオーブンが作れたりするのはただ単に筋力がえぐいだけだ。

ただの料理オタクじゃない。前に言ったと思うが、筋トレもこまめにしている。

筋力に自信がなかったらそもそもこんなところに一人で潜らないよ...



そして、パンをみんなで食べているとき、スマホが振動した。

「やっとインターネットが復旧したか」

さっきまで謎の電波障害があったらしくつながらなかったが、やっと安定したそうだ。

どうせこれもすべてダンジョンとか意味わからないことがたくさん起きてる、未知の災害のせいだろう。

気にしても負けだから、そのままにしておくことに。

「ニュースでも見てみるか..って、これ俺やん」


そこには、

「【動画あり】地震でできた謎の建物に一人で潜入する少年」

という記事があった。俺青年なんだけどな...

記事を見てみると、確実に俺がダンジョンへと潜入する様子が動画に収められていた。記事の中では、国がむやみにダンジョンに入らないようにと警告していた。まあもう入ってしまった俺はどうしようもないけどね。

てか、もう8時間もたっているのか。

夢中で作業や探索をしていたから、時間なんて気にしていなかった。

8時間もたっているからか、ネットではダンジョンに関する話がたくさん出回っていた。

その中に、タヌポンJPという動画クリエイターが面白半分でダンジョンに潜入し、重傷を負ったという話があった。

インフルエンサーの話によると、周囲にモンスターが無数にいて、襲ってきたらしい。

俺もおんなじ目に合ったから絶対に真実だとわかる。ただ...

「【潜入】噂のダンジョンに入ってみた!」

「タヌポンJPが重傷を負ったと噂のダンジョン、俺なら余裕でクリアできる説ww」

このように、彼に便乗してダンジョンに潜入する人が増えているのだ。

俺はここの生活が安定してきているから、むやみに人が来られても困るのだが...


そう考えていると、"ダンジョンの奥"から小さい女の子の声が聞こえた。


「お腹すいた...」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る