第3話
なぜかモンスターが待っていた。
どうやらパンが焼きあがるのを待っているようだ。
「意外と行儀いいなこいつら」
とりあえず、パンを焼くためのオーブンを作らないと。
さっき砕いた石のあまりを使って円形に囲む。
その中に道端で拾った木を数本入れて...
「火は...あ、そうだ。」
さっき火を吐いて攻撃しようとしてきた狼のモンスターをこっちに引っ張り出した。
どうやらさっきのフルーツのおかげか、襲ってこない。
「こいつを怒らせたら...」
モンスターの目の前でそのフルーツをつぶした。
「ウガァァァァ!!」
すると、大声をあげて火を噴きだした。
すぐに新しいフルーツを目の前に差し出して黙らせた。
「これでモンスター手なずけられるじゃん。案外楽勝かも」
火が木に燃え移ったところで、パン生地を自家製窯の中に放り込んだ。
数分後。
「うわ、すげぇ。本当にフルーツパンになってる」
店で出るものとそん色ないぐらいのパンが出来上がった。
これをちぎってモンスターの群れに向かって投げれば...
「めっちゃ群がってて草」
ありえないほどパンに食いついている。
それもそのはず、俺がさっき味見をしてみたが頭が飛ぶほど美味かった。
モンスターも味覚は人間と同じだろう。人はさすがに食わないけど。
俺は、ひたすらモンスターめがけてパンを投げまくっていた。
「そろそろ出るかぁ。地上にいたほうが便利だしな」
そう思ったが...
「まて、ずっとモンスターがついてくるんだけど」
どうやら懐かれてしまったらしい。ただのパンがモンスターを服従できるとかどんな世界だよ。
まあ、これならダンジョンにいくら潜伏したって死ぬことはないってことだよね。
俺はあきらめて、ダンジョンで過ごすことを決めた。
「とは言っても、さすがにもっとでかい穴が欲しいなぁ」
ただの逃げ場のために使ったあの洞穴は大きさが足りない。
もっと、洞窟ぐらいの大きさがいい。
俺はダンジョン内を探索することに。
「あ、水も欲しいな。さすがにダンジョン内に水はないと思うけど...」
「ガウ!」
水が足りないことに気づくと、それに察したのかモンスター軍団の中の一匹が走り出した。
そいつについていってみることにしたのだが...
「おお...湖ってこんなところにもあるのか...」
透き通った綺麗な湖がそこにはあった。
多少の不安がありつつも、その水を飲んでみることにした。
「これ地上よりも美味いな」
なんだろう、ミネラルウォーターLv100って感じの味がする。
ダンジョン内でどのようにしてこの湖が生成されたのかはわからないが、ちょうどいいところにあったのでペットボトルに入れて持って帰ることに。
そうして、歩き回ること15分。
「あった~、これやこれ!」
俺が探し求めていた、ちょうどいいサイズの洞窟を発見した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます