第5話 初めての魔法
実は魔法を使ってみたかったのだ…………
地球とは原理が異なる力……気にならないほうがおかしいというものだろう
いきなり魔法が使えるかという心配はあるが、俺にはイシュタルの記憶がある。
きっと上手くいくだろう………たぶん……
まずは初歩的な魔法で試してみるか。
この世界では、魔言を唱えて魔力を注げば魔法が発動するらしい。
すっと息を吸い込み、記憶にある魔言を唱える。
「灯火の
―その瞬間、手のひらから眩い光が溢れ出す―
「まずいっ」
後悔する間もなく、まるで昼になったかのような閃光があたりを包む。
閃光手りゅう弾があったとするのであればこんな感じなのだろう。
直視していれば、後悔する羽目になっていたのは間違いない。
やってしまったな…………
本来であれば手のひらに小さく火が灯る魔法のはずだったのだが、
過剰に魔力を注いでしまったせいで暴走してしまったみたいだ……
すぐに魔力の供給を断ったため、魔法自体はすぐに消えたが、騒ぎは免れないだろう…………
……………………。
慌ただしくなる庭を余所目に、俺はこっそり床に就いた………
◇
朝から庭がざわざわと騒がしい。
どうやら昨夜、庭で魔法を行使した不埒者がいたらしい。
騎士団が血眼で侵入者の痕跡を探しているそうだ………
………………………………けしからんやつもいたもんだな、うん。
騎士団は思ったよりしっかり調査しているみたいで、侵入経路や防犯魔道具の記録、使用された魔法の種類など事細かに現場検証している。
というか防犯魔道具とかあったのか………
映像記録とかがあったら終わってたな………………………。
肝心の調査結果だが、どうやら侵入した形跡もなく、灯火の
ヘレナに、さり気なく灯火の
と、
…………練習しよう…………。
それはともかく、昨夜の失敗で問題点は浮き彫りになった。
それは、魔法制御が甘いことだ………
通常消費する魔力量を1とするとならば、昨夜の
一般貴族家庭であれば、まず家庭教師がついて魔法制御を習うはずなのだが、そんなものがついているはずもなく、ついでに学校も体調を崩してあまり行けていないため、制御する術を知らないのが問題だ。
あまり学校には行きたくないのだがな………
いくしかあるまい……………
今度こそは奪わせない~虐げられるのはもうやめだ~ 一条 颯斗 @sssssshin
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