5話

『こんばんは』

「こ、こんばんは」


 本当に電話がきて驚いている。

 優しい声が私の心を癒やす。


『突然でごめんね、大丈夫かな?』

「大丈夫大丈夫」


 隣にいるお姉ちゃんには申し訳ないけど、声のボリュームを考えれば多分怒られないだろう。

 イヤホンで音楽聴きながら勉強しているから聞こえないはず。


『話しの続きしようよ』

「うん」


 メールのやり取りの続き。

 教室ではなかなか会話が出来ないけど、電話なら安心だ。

 あっという間に1時間は経過した。


『わっ、11時だね』

「あっ、ほんとだ」


 時間が止まればいいのにー…。

 シュンとなってきた。


『明日も早いし寝るね』

「うん」

『ありがとう、こんな遅くまで』

「こちらこそありがとうだよ」


 そう、電話出来た幸せに感謝する。

 そんなこと、彼はまだ分からないだろう。


『じゃあおやすみ』

「うん、おやすみ」


 なんとなく、同じタイミングで切れた気がした。

 良い声だったな、また話したいな。

 そう思ってベッドに横になると、すーっと眠りに落ちた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る