4話
「上手くいってるんだ」
「まあね」
ふてくされているような声にイラッとするが顔には出さない。
同じクラスの
私と冴菜以外は乗っていない。
冴菜はなんだか不機嫌そうにしている。
よく話すようになってからベッタリしてきているから、恋バナした時に喜んではいたけれど、どこか嫉妬も見えていた。
誰が好きかは言ってはいない。
万が一、言ってしまうと嫌な予感が的中してしまいそうになるから言わない。
「あっちゃんのこと泣かしたらマジ許さん」
なんだ、このライバル視は。
そういう所は嫌になる。
私はあなたのモノではない。
誰を好きになろうが自由なんだから。
冴菜は、事情あって1年生をやり直ししている。
つまり、ダブりである。
男女問わず、信頼を獲得するか好きになると、その人は彼女にとって“私のよ!”となる。
めんどくさい人なのだ。
他の友達に「関わるな」と忠告は受けているが、捕まったからにはなかなか離れることは出来ない。
他の人と話しただけで怒るのだから異常だと思う。
参った参った。
変なことにならないように、彼を守る意味で考えて話していた。
※
『読んだよ、とても面白かった』
いつものようにメールでやり取りをする。
感想発表を互いにしながら、深く語っていく。
とても楽しくて幸せだ。
最初に貸した書籍は、小学校の先生が主人公で、その先生が担任として子ども達と向き合う、笑いあり涙ありの作品だ。
気に入ったらしく、途中まで読んで私に返したから、電子で買って最後まで読んだとのこと。
感動して初めて涙が流れたよ、と言っていた。
貸して良かったなと思った。
今は私の好きなラノベの作品を語り合いしている。
彼の推しは大人しめの美咲。
私の推しは元気いっぱいの美里。
好きになるキャラが真逆で面白い。
会話が途中から推しのプレゼン大会になっていた。
こんなに語れる人はいない。
よく喋る自分に驚きを隠せない。
なんだか電話をしたくなってきた。
緊張するのに、どうしてそう思うのだろう。
声が聞きたいから?
テレビ通話も良いな。
あれこれ考えながらやり取りを続けていると。
『電話、いい?』
向こうからの提案。
同じ事を考えていたようだ。
以心伝心かと思ってしまう。
が偶然と思っておこう。
『いいよ』
すると、携帯が震えた。
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