第19話 ピモ

この町に来ている。憧れていた英雄が。


レイン:

【何があったか解らないが、会ってもいきなり襲いかかるなよ】


ミーナ:

【約束は出来ん。それよりも何でついてくるんた?】


レイン:

【お前が冷静に話せないかも知れないだろ!俺には町を救ってくれた英雄なんだ】


ミーナ:

【知るか!お前と私は違うんだ。あの男は英雄なんかじゃないんだ】


レイン:

【とにかく理由聞いてくれ!話し合いもせずに襲ったら、俺は止める】


ミーナ:

【勝手にしろ!そうなってらお前も倒す!】


駄目だ、冷静になんて、とても無理そうだ。


 少なくとも物資はセーナとゼストが指揮して運び入れているが。ミーナの様子からこの先心配だ。


ミーナ:

【なぁ、この跡なんだ?】


レイン:

【これか?何だ?】


 その跡は、とてつもないものが通った、というよりも衝撃波みたいなものか?ずっと先まで続いているようだ。


レイン:

【気をつけろ。とてつもない力だ】


ミーナ:

【確かにな。もしかしたらあの男か?】


レイン:

【解らないが、そうだとしても何か理由がある】


 ピモのことだ。ミーナの思ってるような人物じゃない。助けてくれてのは事実だ。この目で見た。


 そして憧れの人だ。この町の名前を変えたのも、ピモの力があったからだ。救われた人々はたくさんいる。


 ミーナと接触させてはならない。理由は必ずあるんだ。ここは、


レイン:

【ミーナ、仲間だと思ってる。だがもし何も聞かずにピモに襲いかかるなら】


ミーナ:

【なら、どうするつもりなんだ?】


レイン:

【こうさせてもらう!!】


 あっという間にミーナの懐に入ったレインは、通常は見えない早さで、


ミーナ:

【それほどの力…何故?】


レイン:

【すまん、戦わせる訳にはいかないんだ。それにもし戦っても勝てない。ミーナでは無理だ】


ピモの強さは知ってる。どちらも傷つくのは嫌だ。


倒れかけたミーナをそっと抱えて、近くの小屋に。


レイン:

【ピモ、俺は信じてる。ミーナの言ってることが本当でも何か理由あるはずたよな?そうだよな】


レインは一人でピモの向かった方向に歩き出した。


信じるために、あの英雄を。


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