7.短い話
日本にいれば日本語が母国語だから大丈夫なわけだが、ドイツにいればドイツ語が基本的に母国語だから、全然大丈夫じゃない。
正直、こう言ったらあれだけどグーグル翻訳ってやべえな。って話。
まあ反則技だとは思うけど。
平日は授業があったので、学校から帰ったらすぐに復習をした。男性名詞とか女性名詞とか、相変わらず意味わからないけど、やらないよりはある程度マシだろうと思った。
それに、他の皆のレベルが高すぎて……。
私は先生の言っていることを聞き取るのに精いっぱいで、それなのにクラスメイトたちはすっかり理解しているようで、それがなおのこと悔しかったというか、恥ずかしかったというか。
一応、兄から電子辞書を借りたものの、これがクソの役にも立たなかった。日独辞書はあるのに、独日がなかったのだ。ドイツにいるのに日独を引いてもしょうがない。仕方なく、グーグル翻訳に頼った。
寝る前につけていた日記帳に、授業で習った以外の、日常的な言葉を調べてそこに綴った。ほとんどはその日聞いた言葉ばかりだった。そして、ほとんど名詞ばかりが並んだ。
名詞を適当に並べれば、向こうも言っていることをある程度理解することができるだろうと思ってのことだ。
ドア、じゃがいも、にんじん、明日、昨日、今日……。
だいたいそんな感じの言葉を並べて調べていった。
けど、その日に復習をしたところで、次の日の予習になるのかというとそうでもなかったのだけれど。
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