第30話
「それが楽しいなら別にいいんじゃない。楽しくないなら時間の無駄だろ」
秋村が破談になって、次の本命の女が見つからず、ひとまず捕まりそうな女を手当たり次第漁っていたとき、親しい友達に言われた言葉だった。
女をとっかえひっかえして遊んでいる男の武勇伝などが、メディアやSNSに溢れているが、それは幸せなのだろうか。
幸せじゃないだろう。
男も生殖のためにセックス をしているのだから、本当は「本命」を見つけて子どもを作って、その上で二番目三番目を漁ってるなら、それならいい。
しかしコンプレックスから、劣等感から、女を漁っていた秋村は、ただ不幸で時間の無駄だった。
メディアやSNSに溢れるコンプレックスビジネスと、10代から20代前半のコンプレックスが、秋村に人生を誤らせたのかもしれない。
誰も「幸せ」について教えてはくれなかった。振り返れば、ただただ愚かだった。
前述のように男を2つに分けるなら、後者は20代後半で経済力や社会的ステータスを手に入れてから、そこで「初めて」経験する遅咲きの青春を、掴み取らないといけなかった。過去のコンプレックスなど忘れて。
男を2つに分けたときの前者は、中学高校のときに青春があるだろうが、後者は20代後半で青春が来ても不思議ではないのだ。
そして、あの頃、六本木ヒルズの毛利庭園でデートしていたときは、秋村にとっては、文字通りの「青春」だった。
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