第31話
「ハハハ、この街でそんなこと言ってるの、パイセンくらいだよ」
人生で何が幸せなんだろう?どうやったら幸せになれるんだろう?僕は幸せになりたいだけなんだ。
社会人2年目の頃、上野の繁華街で飲みながら秋村がそんなことを言っていたら、新卒の後輩が笑いながら言ったものだった。
今でこそ、幸せの再定義とか、幸せに焦点を当てた生き方についてよくSNSやメディアでも取り上げられるが、当時はまだそんな社会風潮はなかった。
今なら秋村には答えがあるし、その頃の若い秋村に教えてあげたいと思う。
生きものの至上命題は生存と生殖なのだから、その確率を上げてくれることが幸せなんだと。
もちろん「であるべき」という偏った考え方は、生きづらさになることもあるが、いまの秋村の答えはそうだった。
「私、次付き合うときは結婚する人と付き合うって決めてます。子どもも欲しいです。」
執着している元カノと付き合う前の話だ。
そのとき秋村は、世間に溢れるモテのコンプレックスビジネスやら商業的な純愛ストーリーやら10代20代の劣等感やらで、それが受け入れられなかった。
いまの秋村なら即決できるのに。
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