第6話

「元彼は結局一度も家に入れてくれなかったんです。」

秋村が先に述べた女性と付き合う前に、付き合った女性が言っていた言葉だ。

つまりは、その元彼は既婚者で、それをはっきりさせず都合よくその女性を扱っていたということだった。

その女性は、秋村より4つは年上で、いわば条件の良い婚活をするのにギリギリの年齢であった。

「それはひどいですね」そのとき秋村は半ば本心からそう言った。

そして1、2回だけ体の関係を持ってから、秋村はその女性の時間を無駄にすると悪いと思って別れた。


「◯◯氏に女性スキャンダル」

それからずっと後になって、そんなニュースが秋村の目に入った。その人物は女性をパートナー、彼女、セフレとランク付けして、特にセフレは年齢もあって子どもを欲しがっていたのに、その関係性を有耶無耶にして都合よく肉体関係を持ち続けていたということだった。


妊娠に年齢の制限のある女性に、関係性を有耶無耶にして都合よく肉体関係を持ち続けることは社会的に責められることなのだ。


そして秋村にも、以前はそういう良心の呵責があったのに、いまなぜ秋村はその良心の呵責のリミットを外しているのだろうか?


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