第5話 剣の稽古

「今日からよろしくお願いします、ストラ先生」

 

「君がロラン君か、よろしくね」

 

 俺は父上が手配してくれたストラという女性に、稽古をつけてもらうことになった。


 髪の色は緑髪で年齢は22歳と若く、前までS冒険者として活動してたらしい。

 

「準備はきちんと出来ているようですね」

 

「はい」

 

 俺は今、動きやすい服装に着替えている。


 そして腰には父から貰った木剣が差してある。

 

 この木剣も父からの贈り物だ。


 なんだかんだ応援はしてくれている様だ。

 

「ロラン君は基礎から剣と魔法を学びたいと聞いているんですが、合ってますか?」

 

「はい、俺は剣も魔法も両方学んで強くなりたいんです」

 

 俺がそういうとストラ先生は少し驚いた顔をする。

 

 まあ、剣と魔法どちらも学びたいなんて言い出したらそりゃ驚くか……。

 

 普通は片方に絞って鍛えるのが常識だ。

 

 だが俺には時間がない、死亡フラグを回避するために強くならなくてはいけない。

 

 ストラ先生は俺の目を見て、少し考えた後に口を開く。

 

「それじゃあ今日は剣、明日は魔法としましょう。スケジュールは私がバランス良く決めておきます」

 

 俺はストラ先生の言葉に頷く。

 

 剣は毎日朝と昼の2回、魔法は毎日午後の1回。


 今日は剣の稽古をするらしい。

 

「まずはロラン君の実力を見たいから1回手合わせをしようか」

 

 俺はその言葉に頷き、ストラ先生と対面する。


 そして、俺は木剣を抜いてストラ先生に向き合う。


 ストラ先生は俺より少し背が低いが、それでも女性とは思えない程の威圧感を放っている。

 

 これが元S級冒険者の実力か、俺はこれからこんな化け物と戦うのか?


 そんなことを考えていると、ストラ先生が先手を仕掛けてくる。

 

「それじゃあ私から行きます」

 

「うお!?」

 

 俺はその攻撃をギリギリで躱し、カウンターを狙うが、そんな甘い攻撃は簡単に避けられてしまう。


 そしてまたすぐに攻撃が来る。


 俺はそれを何とか避け続けるが、徐々に追い詰められていく。

 

「反射神経は中々だが、君はまだまだ技術が足りないようだ」

 

 俺はストラ先生の言葉を聞きながら、木剣を振り続ける。

 

 俺の攻撃は簡単に避けられてしまうが、諦めずに木剣を振り続ける。

 

 だがその攻撃も全て躱されてしまい、俺は地面に尻もちをついてしまう。

 

「いてて……」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

 俺は差し出された手をとり、立ち上がる。


 そして改めて自分の未熟さを知る。

 

 ゲームの知識だけを頼りに動いてしまったせいか、完全に見切られていたようだ。

 

 というか今日始めたばかりで、戦いの技術なんか皆無なのだから仕方がないが……。

 

 そんな俺の様子を見てストラ先生は口を開く。

 

「ロラン君の攻撃は私には当たりませんでしたけど、避けるのは上手かったです」

 

「そ、そうですか」

 

 一応コンボの繋ぎはゲームの知識から学んではいたが、やはり実戦経験が少なすぎる。

 

 俺はストラ先生の言葉に少し落ち込むが、そんな俺を見かねたのかストラ先生が口を開く。

 

「まだ始まったばかり、これから強くなればいいんです」

 

「ありがとうございます、頑張ります」

 

 俺はそんな先生の言葉に思わず笑顔になる。


 そしてもう一度、ストラ先生に向き合い木剣を構えるのだった。



 《お願いコメント》




 ―――



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