第4話 お願い事

「ほう? 言ってみなさい」

 

「私は剣と魔法を学びたいので稽古を付けさせて頂きたいのです」

 

 俺がそういうと父は不思議そうな目で俺を見る。


 それどころか母や妹のリア、そしてフリアまでも俺を不思議そうに見る。


 俺は真っすぐ父の目を見つめるが……あ、これ信じてないな。

 

 俺はゲームの記憶で知っている。


 ロランの性格を。


 だからロランは剣と魔法の稽古なんて全くやっていない。


 でも、俺は強くならないと死ぬし、ストーリーを変えないと駄目だから強くなりたい。


 俺は真剣な目で父を見つめていると、父は若干ため息をつきながらも口を開く。

 

「稽古は構わんが、どういう風の吹き回しだ?」

 

 父がそういうと母と妹も首を横にかしげる。


 俺は少し口をとんがらせた後に言葉を紡ぐ。

 

「私はもっと強くならなければならないのです、いつまでも守られる存在では駄目だと、気が付いたのです」

 

 俺がそう言うと父の顔が少し厳しくなり、俺と目を合わせる。


 その鋭い眼光に思わずごくりと唾を飲む。


 父の横を見てみると母や妹は何も言わないが、俺の啖呵を切る姿に目を輝かせているようにも見える。

 

 父は口を開き、俺に向かってこう言い放つ。

 

「良く言った。では、教師を手配しよう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 俺は父の一言で救われた気持ちになる。


 まさかこんなあっさりと許可が下りるとは、俺は少し拍子抜けしてしまうが、これで俺の修行の日々が始まる。


 ちなみに母は嬉しそうな顔をしており、フリアはまだ驚いた顔、そして妹のリアは何故か目を輝かせていた。


 俺はそんなリアに苦笑いをしながらも、これからの修行生活が楽しみだと心を弾ませていた。



―――





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