勝敗結果

それから、大柴は猛勉強した。

教科書を暗記し、問題集を解きまくり、市販の問題集まで買って勉強した。



「大柴、がんばれ。猫部が下僕になれば栄子もついてくる。おっぱいはもう目の前だ」


貴史はそう言って大柴を励ました。



「おう……。俺の本気を見せてやるよ……栄子ちゃんに……!」


あまりに大柴が頑張るので、俺は小学校時代の栄子の写真をあげだ。



「ここからあのおっぱいが生まれるんだな……」


大柴は感慨深そうに写真を眺めた。

こいつ大丈夫だろうか。



♢♢♢



試験当日。

大柴のコンディションは良かった。

いつになく落ち着いている。

そもそも大柴は英語は得意なのだ。

だから白羽の矢を立てた。


これまでの模擬テストページもほぼ満点。

実力を出し切ればいける……!



対する猫部は……

余裕で栄子とおしゃべりしている。


あの余裕しゃくしゃくといった顔を拝めるのも、今日が最後だ。

猫部が大柴の下僕になれば、俺の下僕になったも同然……。

俺は思わずにやけた。



こうしてテストが始まった。




♢♢♢




三日後の英語の授業で答案が返された。


猫部96点。



一方、大柴は……









87点。








勝負になってないがなっ!!


ちなみに貴史は92点だった。

大柴との勉強が効いた。

いや、そんなことはどうでもいい!



「なんだよこの点数!!」


「……まず、緊張でリスニングを一つ落として……。終わったあとの見直しは3回やったから、ミスもなかったんだけど……」


貴史は無言で大柴の答案を奪った。

そして裏面を見た。



裏にあった、自由英作文10点分が未解答だった。



「問題が続いてたことに、気づかなかったんだ……」


自由英作文の問題文は、裏表紙に一行しか書かれていなかった。


貴史と大柴は深いため息をついた。




♢♢♢




それから、大柴は約束通り猫部の下僕になった。


猫部の荷物を持ち、猫部に呼ばれればすぐに馳せ参じ、猫部の脇でゴマをすった。



いや、もう堂に入っている。

あの積極的な動き。

ご主人の顔を伺う目。

褒められたときの喜びよう。

大柴の”下僕性癖”が引き出されたようだ。



また、猫部のそばにいれば栄子とも仲良くできるというメリットもあった。

確かに、おっぱいとの物理的距離は近づいている。



そんな日々を過ごす中で、大柴は栄子に告白した。

そして振られた。



男は、仲良くなるとイケそうだと思いがちだが、栄子にとっての大柴は、”ただの猫部の下僕”だ。


だが、大柴は幸せそうに見えた。

どうやら下僕生活の快感が、おっぱいへの憧れを超えたらしい。

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